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二度とないこの一球という意識を強く持て 小久保裕紀(元福岡ソフトバンクホークス選手) 現役を終えた僕がいまいろいろなお話を いただいているのは 野球一筋にやってきたからだと思っているんです。 野球という道を極めようとしたことが 自分の生きる道に繋がりました。 野球が野球道へと繋がったように 一つを極めることは自分の財産になる、ということですね。 いま若い人は定職に就かず いろいろなことを体験して 自分に合うものを見つけようとする傾向がありますが、 それは違うと思います。 いま目の前にあることこそが天職で、 そこに百%時間を使って取り組まない限り、 その先の人生で花を咲かせることはできないんです。 ちょっと囓ったくらいでは 仕事の本質は絶対に分かりません。 どんな小さな仕事であっても、 それを天職と自分で思って全身全霊をかけてぶつかり、 目の前の課題を一個一個クリアする中で 次の展開が見えてくる。 僕の座右の銘である「この一瞬に生きる」は そこに繋がってくると思っています。 王監督からは「二度とないこの一球という意識を強く持て」と 教わりました。 同じ一球でもなんとなく見逃すのと 確信を持って見送るのは大変な違いです。 ただ、野球は勝負なのでこの言葉がピンと響くんですが、 ユニホームを脱いだ後は、よほど強く意識しない限り、 一瞬一瞬の勝負がなくなってしまう。 だからこれからは、講演でも取材でも野球教室でも、 すべての仕事を試合と考えて 全身全霊で打ち込もうと思っています。 それに一つ加えるとしたら、 プロ野球でもなんの世界でも 「思い」の強さはとても大事だと思います。 プロに入ったことで夢を叶えたと考えるような選手は やはり育たないですね。 僕の場合は「絶対にレギュラーになる。絶対に名を残してやる」と いう思いが半端でないくらいありました。 だからこそプラスになると思うものは なんでも吸収してきました。 いまの若い選手には 「僕は将来、絶対にホームラン王になる」 と言い切る者が少ないんですよ。 逆に結果が出ていないのに謙虚な選手ばかり増えてきました。 僕はそんな選手に 「俺は天狗になって、その鼻を折られた。 それでも折れた鼻を再び生やしたから成長したんだ。 伸びもしないうちから謙虚になるな」 と言うんです。 特に若い頃は寝ても覚めても夢でも、 常に願望を抱いていることが 伝わってくる迫力が必要だと思います。 |
2013.10.07 2013.02.12 |
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