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お母さんへの感謝 柴田 保之(國學院大学教授) 村上 和雄(筑波大学名誉教授) 言葉を発することも、自由に体を動かすこともできない 重度脳障碍者も言葉も意思もない。 そんな世間一般の常識を覆したのが柴田保之さんです。 【村上】 これまでたくさん言葉を 引き出してこられた中で、 特に多かったのはどんなことですか。 【柴田】 まずお母さんへの 感謝が絶対に出てきます。 お母様方がどんなに、 「うちの子には何も してあげられていない」 とおっしゃっても、自分のために どれだけの時間を割いてくれているか、 子供たちはちゃんと分かっているんです。 もう一つよく出てくるのが、 人間として初めて 認められたということですね。 これは家族に対してではなく、 社会に対して言っていることで、 いままで人間として 認められてこなかったけど、 これで自分も人間として認められると。 特にこの「人間として」というのは、 かなりの頻度で出てきますね。 それと中には詩のようなことを 語り始める方もいます。 やはり一人の時間が 圧倒的に多いだけに、 言葉を使ってイメージの 世界を広げていくことで、 頭の中に別世界が生まれる。 それは現実逃避でも何でもなく、 自分が自分らしくいられる 独特の世界なんですね。 そこに詩が生まれるわけですが、 本人にしてみれば絶対誰にも 伝えられないことを前提に やっているので、得意がることもなく、 ただひたすらに自分が生きている ことを味わうためのものなんですよ。 |
2017.01.24 |
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