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赤トンボ 東京都の都立小山台高校教諭で 野球部助監督の田久保裕之さん。 その田久保さんは、 亡くなった野球部員が赤トンボに姿を変え 選手たちを励ます様子を 何度も目の当たりにされます。 「どんな20代30代がいるかで、 その国の未来は決まる」 藤尾社長からこの言葉を聞いた時、 これだ、と思いました。 『致知』を読んでいる先輩方の 眼力と言葉には 引き込まれるような力があり、 人柄も大変魅力的で 「こんな先生に教えて もらっている生徒は 毎日どれだけ幸せな 思いをしているのだろう」 「自分もそうなりたい」 私には夜間定時制高校の 進路指導主任と、 100名を超す部員が在籍する 全日制野球部顧問という 二つの顔があります。 てくれ」 と言われることも多々あります。 今年の夏、0-10の 劣勢から大逆転勝利する試合を 彼らは演じました。 奇跡は起こすもの。 絶体絶命の状況にも動ぜず、 全員が一丸となって戦う姿は 人間力の結集という言葉に 他なりませんでした。 そして、その時赤とんぼも スタンドに来ていたのです。 2006年6月、本校野球部員だった 市川大輔くんが、シンドラー社製の エレベーターに挟まれて 帰らぬ人となる事故がありました。 事故から数か月後、 大輔くんは赤とんぼに姿を変え 私たちのもとへ戻ってきました。 監督の膝に止まり、指に止まり、 飛び立った後も 「大輔!」と呼ぶと、 またぴゅーっと指に戻ってきたといいます。 以後、赤とんぼは何度も何度も 私たちの前に現われました。 甲子園を決めた試合、 大逆転を決めた試合、 時には肩を痛めた選手の右肩に、 そっと止まっていたこともあります。 彼のモットーであった 「当たり前のことを当たり前にやる」 「一分一秒を悔いのないように生きる」 「エブリデイ マイ ラスト」 という言葉は、脈々と 後輩たちに受け継がれていたのです。 いくつもの奇跡を見てきた 彼らにとっては、 0-10からの勝利は奇跡ではなく、 いつも通り全員でベストを尽くした 先にあったものだったのです。 |
2016.12.16 |
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