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あの笑顔をもう一度 鈴木 秀子(国際コミュニオン学会名誉会長) 人によき影響を与え、心を大きく変えるのは、何も特別な行為ではありません。 私の親しい方のお母さまが 100歳で亡くなりました。 最後の3年間は、ある大病院で 過ごされていましたが、 認知症が進み、 はっきり口にできるのは 朝晩の挨拶と「ありがとう」 という言葉くらいでした。 このお祖母さまは 病院のスタッフが 病室に入ってくるたびに、 屈託のない笑顔で 「ありがとう」 と挨拶して頭を下げます。 最初は気に留めなかったスタッフも、 しばらくすると お祖母さまの笑顔を 見ないではいられなくなりました。 朝出勤すると、机に荷物を置く前に まずお祖母さまの病室を訪れて 声を掛けます。 「おはよう、ありがとう」 という声を聞いて 一日の仕事をスタートすることが 日課になっていったのです。 そして、夕方、退勤する時も お祖母さまから笑顔の エネルギーをもらい、機嫌よく 帰途につくようになりました。 それだけに、 お祖母さまが天寿を全うした時、 スタッフは皆、 深い悲しみを味わいました。 ある医師は 「朝夕、お祖母さまの病室に 足を運んだので、 お祖母さまの笑顔を見ないと 一日の区切りがつかないくらいでした。 疲れて帰宅しても、 家族の前では機嫌よくしようと 心を切り替える習慣が身についたのは、 お祖母さまと3年間 接していたおかげです。 お祖母さまは私にとって とても大きな存在でした」 と話していたそうです。 お祖母さまは 何か特別なことを やったわけではありません。 |
2017.01.16 |
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