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平尾誠二さんの言葉 ラグビー元日本代表監督の 平尾誠二さんが亡くなりました。 その平尾さんの言葉 とにかくラグビーに 夢中になっていたので、 高校に入る時も、 自分がラグビーをする上で 一番いい環境を求めて、 山口良治先生のいる 伏見工業に入ったんです。 当時の伏見は、まだ 全国大会に一度も出ていませんでしたが、 山口先生の名はかなり知られていました。 僕は、既に強くなっているところに 入るよりも、 これから伸びるところで 自由にやらせてもらうほうが 自分の性に合っていると考えて、 伏見を選んだんです。 自分で決めて入ったわけですから、 ラグビーに集中せざるを得ませんでしたが、 正直言って一年の時は、 練習がいやでいやで辞めようかと 思っていました。 やっぱりきつかったです。 5月ぐらいになると、自信をなくして 体調を崩してしまいました。 先生に相談しに行ったら、 よく話を聞いてくれて 休ませてくれました。 おかげで、なんで自分はここへ来たのか、 と原点に返って 自分を見つめ直す時間を持てて、 もう一度立ち向かおうという 気になりました。 立ち直るまでほんの二、三日でした。 その間に、 一気にパッと変わったんです。 それでたまたま いい具合に波に乗ることができて、 チームも強くなり、 二年で初めて全国大会でベスト8入りし、 キャプテンを務めた三年で 一気に日本一になったんです。 (山口監督の指導は) 厳しかったですね。 当時の仲間たちのほとんどが 殴られていると思いますよ(笑)。 いまの時代は許されないけれども、 当時はそんなこと当たり前でした。 文句を言うやつもいませんでしたし、 ある意味いい時代だったと思いますよ。 そんな中で印象に残っているのは、 よく人間の力の話を してくださっていたことです。 非常にいい話で、 いまでも僕は大切にしているんです。 僕らが三年の頃には すごく強いチームになっていて、 どことやっても勝っていました。 前半で点差が4、50点開いたりするので、 つい手を抜いたり、 気を抜いたりするんですが、 それでも余裕で勝ってしまう。 すると先生は、 ハーフタイムの時に えらい怒るわけですよ。 「なめてんのか!」と。 そしてこんな話をよくされたんです。 人間の力は、 全部出し切らないと増えない。 だから、余すことなく 使わなければいけないのだと。 いま10ある力を全部出し切ったら、 10.001ぐらいになる。 次の試合でその10.001を全部出したら 10.002というふうに力が増えていく。 出し切らずに溜めたら 逆に減ってしまうんだと。 そして最後の締めくくりに、 「それがお金と違うところだ」と。 |
2016.10.23 |
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