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受刑者たちの素顔 西端 春枝(真宗大谷派淨信寺副住職) 受刑者の悩み事相談にのったり、矯正のために面談や講話を行う篤志面接委員。 90歳を越えてなお女子受刑者たちと向き合ってきたのが副住職の西端春枝さんです。 ──副住職としてどのようなことに 取り組んでおられますか。 かれこれ23年も前から 続いているのですが、 女子刑務所の仕事をしているんですよ。 ──篤志面接員ですね。 ええ。もっとも引き受けた 当初は苦労しました。 5年、10年と続けるうちに、 だんだんとこの仕事に使命感が 芽生えてくるんですね。 ──受刑者と接して、 どのようなことを感じておられますか。 こんなことを言ったら ご無礼かもしれないけど、 自分は正しいと必死に 思っている人が多いですね。 話を聞いていると、 旦那がトンズラしたとか、 離婚状を突きつけて家を 出ていったのが悪いとかという具合に、 罪を犯した原因を 自分以外のところに求めている。 私にもいたらないところが あったのかもしれないとは、 なかなか考えられないんですね。 だから、ものすごく苦しんでいて、 そこから抜け出せずにいる。 それに対して以前の私は、 相手の話に相槌を打つだけでしたが、 思うところがあって、 ある時から「あんたも悪い」と はっきり言うようにしました。 そうしたら、驚いたことに 受刑者のほうが素直に頷くんですよ。 その時に思ったんです、 彼女たちは本当のことを 言ってほしいのだと。 心の底では自分が悪いと思っているから、 「あんたも悪い」と 言われると気持ちが楽になる。 ──裏を返せば、そう言ってくれる人が いないということですか。 いままで誰も彼女たちと本気で 向き合う人がいなかったのでしょうね。 確かに彼女たちは悪いことを したわけですが、彼女たちには まだ30年とか、50年近い人生が 残っているんですよ。 ですから 「幸せにならなあかんで、 幸せになる権利を持っているんやで。 素直になりや。出発点は自分も悪い。 ここからやで……」 と話すうちに私も 胸いっぱいになってくる。 するともう相手はみんな 自分の子供みたいに思えてくるんです。 だからいろんな話を聞いて、 真剣に応えてあげる。 周りからはそんなべらべら 喋るなって言われているけどね(笑)。 |
2016.02.21 |
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