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特攻で散った父の思い 服部 剛(横浜市公立中学校教諭) 独特の道徳授業で生徒たちからも人気を誇る服部先生。 生徒たちには先人に対する 敬意と感謝の思いも ぜひ伝えたいと思っています。 そのために取り上げるのが 特攻隊の遺書なんです。 ──ああ、重たいテーマですね。 この授業では、 「次の手紙は、あるお父さんが 娘さんに書いた手紙の冒頭部分です」 と前置きしながら、 最初にそれを読み上げていきます。 「素子、素子は私の顔を 見てよく笑いましたよ。 私の腕の中で眠りもしたし、 またお風呂に入ったこともありました。 素子が大きくなって 私のことが知りたい時は、 お前のお母さん、佳代伯母様に 私のことをよくお聞きなさい。 私の写真帳もお前のために 家に残してあります。 素子という名前は私がつけたのです。 素直な心の優しい、思いやりの 深い人になるようにと思って、 お父様が考えたのです」 生徒たちには、このお父さんが どんな人と思うかを自由に発表させた後、 素子さんを抱いている 制服姿の父親の写真を見せます。 その父親は植村眞久さんという 特攻隊員であることを話し、 特攻隊とは何だったかを 説明していきます。 そして、植村さんが 特攻隊員として飛び立つまでの 記録を丹念に辿りながら、 この遺書をどういう思いで 書いたのかを皆に 考えさせていくんです。 ──生徒さんはきちんと 受け止めてくれますか。 授業をやってみて驚いたのは、 否定的な受け止め方をする 生徒はとても少ないことです。 逆に多くの生徒が自分と それほど年齢の変わらない 若者たちの凜とした生き方に驚き、 普段はやんちゃな生徒までもが ポロポロと涙を流しながら 聴き入ってくれるんです。 「もっと読みたい。 遺書はどこに行けば読めますか」 と聞いてくる子も何人もいますね。 |
2016.02.09 |
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