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      次代に輝く住まいを創る

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一語履歴WORD vol.520

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一語履歴 vol.520
縁を生かす
一語履歴 vol.519
開き直りから 519a朝一番に触れた言葉 519b独立自尊の商売人になれ
一語履歴 vol.518
増田さんの解説は 518aがん細胞にも「ありがとう」 518bこの人になら
一語履歴 vol.517
成功するには事前の計画、そして実践が大事 517a人間はミスをするもの
一語履歴 vol.516
大丈夫の試金石 516a必ず達成する時が来る
一語履歴 vol.515
ありがとうの法則 515a「分かち」と「誠実」 515b病気になって
一語履歴 vol.514
不遇・逆境というものは 514a苦難は人間を 514b失敗する経営者の条件
一語履歴 vol.513
文明の最高目的は 513a特に難しい問題を 513bそれは本物
一語履歴 vol.512
御静養 512aすべてを任せ... 512b自分の能力を遥かに超える
一語履歴 vol.511
書き続けるという意志と技術 511a一流の人 511b心を常に積極的に保つ
縁を生かす

その先生が五年生の担任になった時、
一人、服装が不潔でだらしなく、
どうしても好きになれない少年がいた。

中間記録に先生は少年の悪いところばかりを
記入するようになっていた。

ある時、少年の一年生からの記録が目に止まった。
「朗らかで、友達が好きで、人にも親切。
 勉強もよくでき、将来が楽しみ」
とある。

間違いだ。他の子の記録に違いない。
先生はそう思った。

二年生になると、
「母親が病気で世話をしなければならず、
 時々遅刻する」
と書かれていた。

三年生では
「母親の病気が悪くなり、疲れていて、
 教室で居眠りする」。

後半の記録には「母親が死亡。
希望を失い、悲しんでいる」とあり、

四年生になると
「父は生きる意欲を失い、アルコール依存症となり、
 子どもに暴力をふるう」。

先生の胸に激しい痛みが走った。

ダメと決めつけていた子が突然、
深い悲しみを生き抜いている
生身の人間として自分の前に立ち現れてきたのだ。

先生にとって目を開かれた瞬間であった。

放課後、先生は少年に声をかけた。

「先生は夕方まで教室で仕事をするから、
 あなたも勉強していかない?
 分からないところは教えてあげるから」。

少年は初めて笑顔を見せた。

それから毎日、少年は
教室の自分の机で予習復習を熱心に続けた。

授業で少年が初めて手をあげた時、
先生に大きな喜びがわき起こった。

少年は自信を持ち始めていた。

クリスマスの午後だった。
少年が小さな包みを先生の胸に押しつけてきた。
あとで開けてみると、香水の瓶だった。

亡くなったお母さんが使っていたものに違いない。

先生はその一滴をつけ、
夕暮れに少年の家を訪ねた。

雑然とした部屋で独り本を読んでいた少年は、
気がつくと飛んできて、
先生の胸に顔を埋めて叫んだ。

「ああ、お母さんの匂い!
 きょうはすてきなクリスマスだ」

六年生では先生は少年の担任ではなくなった。

卒業の時、先生に少年から一枚のカードが届いた。

「先生は僕のお母さんのようです。
 そして、いままで出会った中で
 一番すばらしい先生でした」

それから六年。またカードが届いた。

「明日は高校の卒業式です。
 僕は五年生で先生に担当してもらって、
 とても幸せでした。
 おかげで奨学金をもらって
 医学部に進学することができます」。

十年を経て、またカードがきた。

そこには先生と出会えたことへの感謝と
父親に叩かれた体験があるから
患者の痛みが分かる医者になれると記され、
こう締めくくられていた。

「僕はよく五年生の時の先生を思い出します。
 あのままだめになってしまう僕を
 救ってくださった先生を、神様のように感じます。
 大人になり、医者になった僕にとって最高の先生は、
 五年生の時に担任してくださった先生です」

そして一年。届いたカードは結婚式の招待状だった。

「母の席に座ってください」

と一行、書き添えられていた。

たった一年間の担任の先生との縁。

その縁に少年は無限の光を見出し、
それを拠り所として、それからの人生を生きた。

ここにこの少年の素晴らしさがある。

人は誰でも無数の縁の中に生きている。

無数の縁に育くまれ、
人はその人生を開花させていく。

大事なのは、与えられた縁をどう生かすかである。

2020.12.10

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