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50歳を過ぎても燃え滾る情熱があれば、それは本物 デビュー作は太宰治賞、2作目で芥川賞を受賞―― 日本の純文学を代表する作家として活躍し、 今年春の叙勲では旭日小綬章を受章され、 「85歳まで書き続け、100篇の長編小説を残す」 という一念を掲げて執筆活動を行ってきた宮本輝さん。 (宮本) 昔、ある人から「俺は50を過ぎた人間の情熱しか信じない」 と言われたことがあるんです。 35歳の時でしたけれど、その時は意味が分からなかった。 まるで35歳の自分が否定されたような気がしてね。 しかし、絶対に50になってみないと、 この人が言っている意味が分からないだろうとも思いました。 それで48歳の時に阪神・淡路大震災です。 私は関西を拠点にしていますから、家も壊れました。 死んだ気になって、一生行けないかもと思っていた シルクロード6,700キロの旅にも出ました。 それでも「50を過ぎた人間の情熱しか信じない」 という意味は分からなかったですね。 で、いよいよ50歳になる直前ぐらいになって、 ようやく「ああ、そうか」と。50年ですから、 どんなに平々凡々に暮らしてきた人でも、 やっぱりいろんな経験をしていますよ。 思いどおりにいかないことばっかりだっただろうし、 病気もしただろうし、人に裏切られたこともあるだろうし。 そうやって生きてきた人間の持つ「力」というものがあるんですよ。 (また、そういう人生経験を経て、 なお50歳を過ぎても燃え滾る情熱があれば、それは本物だと。) |
2020.11.20 |
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