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病気になって感謝することばかり 尼僧として80年以上、禅の修業一筋に生きてこられた青山俊董さんは、 昨年、立て続けに大きな病気を経験されたといいます。 (青山) 教えられる、学ばされるという意味では、 病気などにしてもそうですね。 私は昨年、脳梗塞と心筋梗塞を立て続けに体験しました。 ある講座の時、話はできるのに、 黒板の字がどうしても字になりません。 翌朝、修行僧が「先生、言葉がおかしい」と言うので すぐに入院しました。 5か月ほどすると今度は心筋梗塞で倒れまして、 周囲は葬式の準備まで考えていたそうですが、 本人としてはいろいろと気づくことがあって、 毎日呑気に楽しんでおりました(笑)。 私は修行僧たちに「苦痛と苦悩は違う」とよく言っています。 体の痛みは確かに苦痛かもしれません。 しかし、そのことを通して気づくことが山ほどありますからね。 病院の廊下に立ちますと、 生老病死というものが目の前に展開している。 いまは福祉が行き届いていて、 元気な人しか見えなくなっていますが、 本当はこれではいけないんですね。 やがて自分も病に伏す時が来る、 老いて死ぬ時が来ると人生全体の姿が展望できて 人生の座標軸というものが分かれば、 いま、どう生きるべきかが自ずと見えてきます。 その意味でも病気になって 私は感謝することばかりでこざいました。 まさに「南無病気大菩薩」です。 |
2020.11.26 |
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