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組織が求めていること 吉田 智誉樹(四季社長) 池田 雅之(早稲田大学名誉教授) 俳優やスタッフを叱咤激励する姿から、周囲から恐れられていたという浅利慶太氏。 現社長の吉田氏は、ある時、浅利氏に呼び出されてお説教をされたそうです。 【池田】 叱られて特に印象に残っていることはありますか。 【吉田】 大阪で広報を担当していた20年ほど前、仕事で失敗し、 劇団に迷惑をかけて落ち込んでいたことがありました。 そんな折、来阪していた浅利から 「今晩飲みに行くぞ」と声を掛けられましてね。 いまでもよく覚えていますけど、近鉄劇場のすぐ側の 居酒屋へ数人の仲間と連れて行かれたんです。 予想していた通り説教ですね(笑)。 その時に「おまえは人間としての 浅利慶太を恐れ過ぎている」と言われたんです。 【池田】 どういう意味でおっしゃったのでしょう。 【吉田】 おまえたちから見て、僕は怖い存在かもしれないが、 それは組織の機能の一つなんだと言うんです。 自分は劇団の代表として、おまえたちに求めることを そのまま冷徹に突きつけている。 だから怖く見えるんだろう、ただよく考えてくれと。 それは僕個人ではなく、組織がおまえたちに 求めていることなんだと言われて、ハッとしたんです。 確かに自分は浅利を人として恐れていたのかもしれません。 だから、何とかこの人にイエスと言ってもらおう、 気に入ってもらおうと思いながら仕事をしていた。 しかし本当に必要なことはそれではない。 劇団四季という組織が求めていることを冷静に逆算し、 それを信じて浅利にぶつかればいいんだと思い至りました。 それからは、わりとフランクに話ができるようになったんです。 |
2019.02.08 |
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