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坂村真民 西澤 孝一(坂村真民記念館管長) 横田 南嶺(臨済宗円覚寺派管長) 国民詩人・坂村真民の詩に魅せられ、 一万篇を超える詩に精通するお二人のみが語り得る坂村真民の世界とは 【横田】 全部で一万篇を超える真民詩の中で、 西澤館長が特に好んでいる詩は何ですか。 【西澤】 これはなかなか選ぶのが難しいんですけれども、 強く影響を受けていると感じるのは、 真民が昭和26年に最初に自費出版で出した 詩集『六魚庵天国』の巻頭に載っている 「六魚庵箴言(ろくぎょあんしんげん)」です。 「狭くともいい/一すじであれ/どこまでも 掘りさげてゆけ/いつも澄んで/天の一角を/見つめろ」 「貧しくとも/心はつねに高貴であれ/一輪の花にも 季節の心を知り/一片の雲にも/無辺の詩を抱き 一碗の米にも/労苦の恩を感じよう」 「いじけるな/あるがままに おのれの道を/素直に/一途に/歩け」 【横田】 西澤館長はこの詩を『かなしみを あたためあって あるいてゆこう』の 最初に持ってきて、「詩人として生きる決意と、 自らの生き方を宣言した詩」と説明されていますね。 【西澤】 この詩はおそらく40歳頃につくったものだと思いますけど、 真民はこの言葉を亡くなるまでずっと思い続け、 そしてこの生き方を生涯貫き通しました。 そこが尊敬するところですし、 私も生き方の原点にしたいと思っています。 もう一つは、「しっかりしろしんみん」。 私自身、これから人生の晩年を歩んでいくにあたって、 いつも念頭に置いて生きていかなければと思っている詩です。 「しっかりしろ/しんみん/しっかりしろ/しんみん しっかりしろ/しんみん/しっかりしろ/しんみん しっかりしろ/しんみん/どこまで書いたら 気がすむか/もう夜が明けるぞ/しっかりしろ/しんみん」 これは89歳の時に書いているんですけれども、 80代後半から特に90を過ぎて以降、 詩記の中に「しっかりしろしんみん」という言葉が 毎日のように出てくるんです。 詩記は96歳で終わっているんですが、 最後の最後まで「しっかりしろしんみん」と 書かれています。これはすごい。 |
2017.11.18 |
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