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      次代に輝く住まいを創る

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一語履歴WORD vol.271b

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一語履歴 vol.280
飴と鞭の如き 280a教わる 280b眺望は人を養う
一語履歴 vol.279
見たこともない 279a絶対に 279b二宮尊徳 279c妄語せざる
一語履歴 vol.278
日本人は 278a心の中で葛藤 278b後ろ姿は 278cおなかが空いています
一語履歴 vol.277
坂村真民 277a断られても 277b素直な心 277cとらわれない
一語履歴 vol.276
知っている人 276a幅広い読書 276b対象の人の 276c人生はあなたに
一語履歴 vol.275
海は 275aにじり口 275b日本の詩歌 275c本心から湧き出る満足感
一語履歴 vol.274
仕事とは尊い遊び 274a人のご縁を 274bお尻のスイッチ 274c宝石を捨て
一語履歴 vol.273
永世中立 273a勉強って 273b中村天風先生 273c古代の心
一語履歴 vol.272
おまえ 272aどんなに苦しくても 272b世界一にも 272cみてござる
一語履歴 vol.271
おまえに任せて 271a幸福は 271b現代人が忘れた 271c森信三
現代人が忘れた大事な忘れ物
          行徳 哲男(日本BE研究所所長)

一昨年、私はある人から招待状をいただき、
「屋根の上のヴァイオリン弾き」という
芝居を見に行った。

大変感動的なドラマであった。

71歳になった森繁久弥さんが、3時間、
舞台で踊り、歌い、演じ続け、
場内は大歓声の中で終わった。

最後に、森繁さんが「皆さん、ありがとう」
といって手を振った。
彼の目には涙があった。

聞くところによると、森繁さんは、
18年かかって840回、この芝居を
やり尽くしたという。

芝居小屋を出る時に歩けなくて、
付き人に支えられて車に乗ったこともあるそうだ。

それだけ舞台に精魂を使い果たしているのであろう。

私は見終わって、フラフラして
立ち上がることができなかった。
そのまま席に座りこんでしまった。

数日後、国電で神田駅を通り過ぎようとした時、
ビルにかかった垂れ幕が目に入った。

先日見た「屋根の上のヴァイオリン弾き」の
垂れ幕であった。

そこには「どうかこの感動を親から子供たちに」と
書いてあった。

それを見たとたん、私の目から涙がどっとあふれてきた。

わけもなく流れてくる。
生命の底から込み上げてくるものを、
私は抑えることができなかった。


日曜日に洋画の解説をされる淀川長治さんという方がいる。

淀川さんはブラウン管から消えていく時、
「さよなら、さよなら、さよなら」というのであるが、
不思議なくらいに余韻が残っている。

一体、なぜ、淀川さんの「さよなら」が
余韻として残るのだろうか。

淀川さんはこんなことがあったそうである。

ある時サイン会があった。
サイン会も終わり、会場を出た時、
突然小さな子供が寄ってきた。

その子は「おじさん、握手をしてください」
と左手を差し出してきた。

淀川さんは、「ぼく、失礼なことだよ」と
いってその子の左手を払いのけ、
待機していた車に乗り込んでしまった。

淀川さんは海外によく出掛けるので、
海外でいきなり左手で握手を求める
ことは大変失礼なことであるから、
やってはいけないことだと知っていた。

車に乗り込んでから、ふともう一度その子を見た。

淀川さんはハッと思った。

その子には右手はなかったのである。

淀川さんは車から飛び降りてその子を抱きしめ、
「おじちゃんを許しておくれ」といって、
その子と一緒に涙を流して泣いたという。

このようなエピソードの中に、
私たち現代人が忘れた大事な忘れ物がある。

豊かで恵まれた中に、
大事な大事な忘れ物をしているのである。
 
2017.10.19

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