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宝石を捨てて砂利を拾う日本人 カール・ベンクス(「古民家」再生のプロ) 誰もが顧みない「古民家」再生に情熱を注ぐ 建築デザイナー、カール・ベンクスさん。 その活動には、自国の歴史や文化を 忘れてしまった日本人へのメッセージが詰まっています。 来日から7年後、日本の伝統建築の素晴らしさを 海外に紹介したいと思い、 日本で知り合っていた現在の妻とドイツに戻りました。 その後は日本とドイツを行き来しながら、 日本の茶室や古民家を解体してヨーロッパに 移築したりする仕事に携わりました。 その頃の日本はちょうど高度経済成長期で、 古い木造建築が壊され、その代わりに短期間で 安く大量につくれる簡易な建物がどんどん増えていきました。 特にバブル後、古民家を探しに再び湯沢を訪れた時には、 ごく普通の街並みに変わっていたんですよ。 京都なども、数10年ぶりに来日したある友人は、 「なんだ、昔の美しい京都はないじゃないか」と嘆いていました。 ですから私は、「日本人は宝石を捨てて、 砂利を拾っている」とよく言うんですね。 ──日本人が自分自身で価値のある建築物を壊していったと。 ドイツには、築100年以上の建物を壊して はいけないという厳しい法律があります。 日本人は海外旅行をする時、パリやローマ、ロンドンなど、 その国の古い町、歴史のある場所に行きますよね。 なのに日本人自身は自国の歴史や文化を大事にしない。 それは本当に残念なことだと思います。 それでお客さんのために移築できる古民家を探していた1993年秋、 友人に誘われ偶然訪れたのが新潟の竹所(たけどころ)集落でした。 竹所にはかつて39軒の家があったそうですが、 当時は過疎化が進み八軒になっていました。 地元の人たちも、「誰もが離れていく村に家を建ててどうするのか」と、 とても不思議がっていましたね。 でも、早く住まないと本当に倒れそうな古民家でしたから、 購入した年に解体し、翌年の春には基礎をつくり、 地元の方や知り合いの職人の助けを 借りながら2年ほどで新しく再生させたんです。 ──その自宅が日本で初めて再生した古民家ですか。 ええ。自宅が完成した後も、しばらくは日本と ドイツを行き来していたんですが、 次第に古民家を再生してほしいという依頼が増えてきましてね。 1999年に会社を設立し、生活の基盤を日本の竹所に移したんです。 以来、この地域を拠点に全国50軒の古民家再生を手掛けてきました。 |
2017.11.09 |
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