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想い出をキレイに一生残すために 佐藤勝人(サトーカメラ専務) 並み居る大手家電量販店を抑え 栃木県内のカメラ販売シェア 十五年連続トップに立つ サトーカメラ 来客リピート率80%以上 利益率40%以上 ただカメラを売るだけでいいのか? 私は「栃木で一番の店にする」と公言して 朝から夜まで店に立って働きました 当時は とにかく早く回せ 効率よくやれと 売ることしか頭になかったですね 「客なんて面倒くさいだけ さっさと売ってなんぼや」 と号令をかける そんなことで 県内に四百軒あったカメラ店の 最下位からスタートして 三年間必死に働いて栃木一番店になりました 平成十二年には県内に十店舗を構えるようになったんです 私生活では高級外車を乗り回し 毎晩飲み歩き趣味のスノボやゴルフや サーフィンもやっていました これが若い頃に夢に描いた大人の姿なんだなって思っていた 当時はそれが楽しいんだけど でも どこか楽しくないんですよね 商品はどんどん売れていく でも ものが売れればそれだけでいいのかと いう気持ちが芽生えていました それが決定的に変わったのは平成十五年 十三店舗目にあたる 売り場面積二百坪の宇都宮本店が オープンした時でした ちょうどその頃 うちが主催の写真撮影会があって 私も顔を出したんです そこに七十歳代のおばあちゃんが 一眼レフカメラで写真を撮っている そのおばあちゃんが俺のところにまっすぐ来て 「こんにちは 私のこと憶えている?」と言うんです しかし さっぱり分からない 「私は十年前にあなたに勧められて この一眼レフカメラを買ったのよ」 と言われて まじまじと顔を見ました そんな昔にカメラを買った おばあちゃんのことなんて忘れていました 「六十歳の時に旦那が亡くなって やることもないから毎日パチンコをしてた 六十五歳の時 息子に子供が生まれてカメラを買った でも使い方がよく分からないから毎日のようにお店に来て カメラの使い方を教えてもらった」 そこまで聞いて「ああ あの時の」って思い出しました さらにこう話してくれたんです 「あなたに使い方を教えてもらってから 毎日のように楽しく写真を撮って 賞もいろいろもらった いま私は七十代だけど あなたと知り合い カメラを憶えたこの十年間が人生の中で一番幸せだったわ ありがとう」って 本当に感動しましたね 若い頃 人に影響を与えるような人間になりたい そんな仕事をしたいと思っていたこともありましたが なっていたんです この仕事を通して おばあちゃんのひと言がきっかけで これからはきちんとお客さんのことを考えて カメラを売らなくてはいけないと思うようになりました そんな頃ですね うちの経営方針である 「想い出をキレイに一生残すために」 という言葉が生まれたのは |
2013.05.24 2013.05.08 |
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