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      次代に輝く住まいを創る

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一語履歴WORD vol.036

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一語履歴 vol.040
ビートたけしのお母さん...040a一沈一珠...040b思い出をキレイに...
一語履歴 vol.039
3万6500朝... 私の子育て術... 恐怖心に向き合うか...
一語履歴 vol.038
腹を括れ...  奇跡の美術館...
一語履歴 vol.037
人生を変える一言... 037a縁を生かす... あいさつ...
一語履歴 vol.036
チベットから嫁に来た歌姫... 036a天に一番近い大地...  036b比較しない...
一語履歴 vol.035
金メダリストが伝えたいこと... 035a 熱と誠があれば...  たった一つの命...
一語履歴 vol.034
無上意... 中村久子... ほめ言葉シャワー...
一語履歴 vol.033
日本一楽しい会社... 学級崩壊したクラス...033a社会で勝てる人はここが違う...
一語履歴 vol.032
市井の剣道...知好楽... 032a心の化粧...婦人の心を一変させた赤ちゃん...
一語履歴 vol.031
人の世に変わらぬものは... 031a学級崩壊...最も大事なこと...
チベットから嫁に来た歌姫         チベット声楽家 バイマーヤンジン

私は今各地の小学校や、中学校で、話をしたり、歌を歌ったりしておりますが、
今度「チベットの心」という民謡のCDを出しました。日本の長唄に少し似てい
ます。そして、やはり草原や山が多いので、モンゴルの歌にも似ていると言われ
ます。チャリティなどをして、これまでに、チベットに小学校を八つ、中学校を
一つ作って、2000人以上の子供たちが元気に勉強していてくれてます。

今から15年、20年先をとても楽しみにしてます。この動機は日本から受けた
刺激です。子供の小さい時はやはり働くよりも勉強して、基礎知識を身につける
場所が大事だと思ったからです。その場所を大人が提供するのが本当だと思った
からです。日本の皆さんも、その伝統があって、今日の発展があるのだと思いま
す。その意味で、日本の方の共感を得て、多くのご支援をいただき、最初は20
年で一校くらいと思ってたのが自分でも驚いております。努力したら出来ると、
私自身びっくりしました。

今日は、私が日本人と結婚して、日本に来て、主人の両親と一緒に、11年暮ら
してますが、そのことについてお話ししたいと思います。
特に日本とチベットとの文化、社会、生活面での相違について、いろいろと感じ
たことをお話しします。
私、小さい時は、勿論、日本人と結婚して、日本に来るなんて、それこそ夢にも
考えたことはありませんでした。
主人の仕事の都合で、日本に来るようになった時、まだ日本語も余りできなかっ
たので、慌てました。その時に主人から聞いた日本の印象と、中国で聞いた日本
に関するうわさの余りの違いにびっくりしました。

「あなたは、日本に行ったら苦労するよ。日本の女性は家庭から一歩も外には出
ないで、じっとご主人が帰って来るのを正座をして待っていて、礼儀正しくお迎
えするのよ」という噂を聞いていました。ところが日本に来て、本当に家の中で
じっと座っているかと思ったら、街を、綺麗に着飾って歩いているのは、ほとん
どおばさんばかりでしたので、驚きました。

でも日本の主人の両親は、初めての外国人の私なのに、一つもいやな顔をしない
で、すうっと受け入れてくれたので、とても嬉しかったです。そこで、私はこれ
からも一生懸命に好きになってほしいので、家事はお任せ下さいとはりきったの
ですが、なんと掃除をしようとすると、掃除機があり、洗濯をしょうとすると自
動洗濯機が、ご飯を炊こうとすると、自動炊飯器、後片付けをと思ったら、皿洗
い機がある。パンは一々作らなくても、店から買ってくるし、焼くのもパン焼き
器でチーンとできます。お湯も沸かすことなく、ポットでちゃんといつでも熱湯
が出てきます。家中がピー、ピーといって怖いくらいでした。
ママは優しく「大丈夫、大丈夫。ご飯が炊けたよ」といってくれますが、夕方に
なったら、又、ピーと鳴りました。「何だろう?」と思ったら、今度はお風呂が
沸いたんです。まったく、嫁さんが要らない世界です。
これでは、人間が遊んでいて、機械だけが働いている。出来上がったら知らせて
くれる。私は正直、まるで天国に嫁に来たのかと思いました。

しかし、天国といっても、自分の考え方で違うと思う。私は言葉も知らないし、
外国旅行に行ったこともありません。チベット語か中国語か、英語で言ってくれ
たら判るのですが、それは無理なので、私が勉強しないといけないと思って、本
を買ってきて、日本語を覚えようとして努力しました。そして、両親に話しまし
たら、「あかん、あかん、かまへん、かまへん」と言われました。ところが本に
載ってないのです。又本屋に行って、大阪弁の本を買ってこないといけないので
す。夢にも思っていませんでした。

もう一つ、驚いたのは、家庭の中に自分の部屋、お父さんの部屋、お母さんの部
屋、居間、応接間、台所、二階は昔いたお姉さんの部屋、主人の部屋・・・と4
畳半、6畳と小さな部屋がたくさんあることです。家・なのに、なぜ一緒にいな
いのか。
お父さんは停年になって自分の部屋に入ったままなのです。私は少しでもお父さ
んといろいろ話して、早く仲良くなってもらいたいのです。ところが日本のお父
さんはしゃべらないのです。
この間、お父さんの部屋に行ったら、テレビがつけっ放しになっていて、お父さ
んはソフアーで寝ているのです。それで勿体ないと思って、消したのです。とこ
ろが消したらお父さんが起きたのです。そして「見てるのに、何故消すのだ」と
怒るのです。私はお父さんが寝ているのを見たから、無駄だと思って消したので
す。ところが、「見てる見てる」と言うのです。つけたまま眠り、消したら起き
るという神経が、わからない、どうも矛盾していると思うのです。

もう一つは晩御飯です。4人揃って、とても嬉しいのです。いろいろと話しなが
ら楽しく過ごしたいと思ったのです。ところがみんなテレビを見ながら、「ハッ
ハッハア」と笑いながら、ついでにその開いた口に、おいしいお米の一粒、一粒
を入れるのです。光っているお米の一粒、一粒が私たちに向かって笑っているの
に、失礼じゃないかと思うのですが、会話が余りないのです。テレビを台所から
撤去して、みんなでおいしく、楽しく会話しながら食べたいなと思いました。チ
ベットではそうでした。

食べ物文化も違うのです。
チベットは海がないので、川だけです。勿論川の中に魚はいますよ。おまけに水
葬といって遺体を川に流す習慣が昔からありますから、魚は食べてはいけないと
いうことになっています。釣りも禁止です。
ところが魚を尾頭付きで、しかも焼き焦げがついたまま、でんと食卓に出ている
のです。思わず、「駄目ー」と言って、立ち上がりましたら、お父さんが「座れ
ー」と怒鳴りましたので、座りましたら、目の前に魚の目が睨んでました。
「ああ、このお魚の眼はまだ生きてる」と思って
「ホンマニベエ、ホンマニベエ」とお経をあげたら、お父さんが「うん、うん、
えへん」とにらむのです。
もっと驚いたのはチリメンジジャコを食べているのです。大人の魚ならまだしも
ですが、赤ちゃんのまま食べているのです。まだこれからの一生が長いのに、赤
ちゃんのうちに食べてしまったら一体どうなるのだろうと心配なのです。
そのことを言ったら、「何言うてんね。カルシュウムや」と一蹴されました。
一時期、絶望しました。

その時、礼儀、習慣が違うのは当たり前だと思うのです。
でもよく考えてみたら、主人が初めてチベットの私の実家に来た時の話ですが、
母が体調が悪いところに一所懸命に料理したのが、牛の頭の丸ごと湯がいたもの
でした。そしたら、主人が「えっー」と言って逃げ出したのです。それを連れ戻
してきて、まず、頬肉をつちて、出して、あごをぐっと開けて、舌を引っ張り出
して、お父さんがみんなに切ってあげたのです。
そして一番美味しいところなので、目玉を食べてもらいたいと思って、指を突っ
込んで抉り出したんですが、又、逃げ出したんです。
チリメンジャコが体が透き通っていて、可愛い目玉が二つあるのに、赤ちゃんの
まま、可哀想じゃないかと言ったら、主人が牛の目玉とどっちが大きいかと言い
ました。

それを聞いた時、私はハッと、チベットの文化と日本の文化の相違について、目
からウロコが落ちたような気がして、目が覚め思いがしました。
日本は周囲を海に囲まれているのですから、これまでに多くのご先祖さんが海の
幸のお蔭で、繁栄をしてきたわけですから、それを海のない国からやってきた外
国人がいきなり、「チリメンジャコを食べちゃ駄目ーっ」と言ったりしたら、い
けないことだと思ったのです。
「郷に入れば郷に従え」という言葉がありますが、他人の私があれは駄目、これ
は駄目というべきではないのです。
日本の家族と仲良く生活して、文化の違いを素直に受け止めていくことが大事な
ことと思いました。

主人を信じて結婚したのですから、心を正しくして、日本料理を好きになり、今
では鮪と鯛が大好きになりました。わさびと納豆も食べるようになりました。毎
朝の食事はご飯と納豆と味噌汁です。お母さんはパンとコーヒです。どっちが日
本人なのと、たまには聞いてみたいと思います。何か変な気がしますが、いつの
間にかこうなってました。
慣れよう、慣れようとしているうちに11年経ちました。姑関係もうまくいって
ます。お父さんとも勿論です。

近所の方が、私が主人の両親と一緒に住んでいるのを見て「あなた偉いわねえ」
と言うんですが、私には不思議でたまらないのです。別にライオンや虎と一緒に
いるわけじゃないのに、なぜ、そんなことを言うのだろうと思うのです。
私は主人を愛し、信じて好きになって、結婚したのです。その人を産んで下さっ
て、今日まで育てて下さった両親を大事にするのは、当たり前のことなのに、な
ぜ偉いというんでしょうね。
なんで、今の日本では、愛する夫の、その親と一緒に住むのを嫌がるなんて、ど
うしても信じられないのです。
年配の人で、保険金、年金、貯金も大事かも知れませんが、「嫁の世話にはなり
たくない」と言ってる人もいますが、何よりも人間同士の愛情が一番大事だと思
うのです。

今年の秋、私の初めての赤ちゃんが産まれる予定なのです。幸せ一杯の気持ちで
す。主人のお父さんは、もう亡くなったのですが、お母さんと、91歳のおばあ
ちゃんと、主人と、私の4人の愛情をたっぷり受けて育ってほしい。私も正しい
人間に育てていこうと思っております。

幸せな家庭の集まりが社会ですから、その家庭を大事にしていこうと思ってます
。私はこれからも両親を大切にして、子供も是非、社会が揺れても平和な家庭の
中で、人間を愛せるような、人間を信ずることができるように、大事に育ててい
きたいと思ってます。

あんなに便利で時間がたっぷりあるのに、皆さんが子育てが大変だ、大変だと言
ってますが、チベットでは、子育ての前に牛育て、羊育てという仕事がまずある
のです。
 
2013.05.07
   

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