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婦人の心を一変させた赤ちゃん 鈴木秀子(文学博士) 私、この間こういう体験をしたんです。 渋谷から横浜に行く東横線で、 目の前の座席に、五十代半ばぐらいの、 上から下までブランド品で身を固めた ご婦人が座ってたんです。 きれいな人なんですが、どこかしら、 なんとも言えない陰気な雰囲気が漂っているんですね。 私はどうしてこういう人と向かい合わせに座ることに なっちゃったんだろうと思いながら、 頭の中で、この人はきっと家で喧嘩してきたに違いないとか、 そんなことを考え始めたんです。 そこで気分を変えようと本を読み始めて、 しばらく後で目を上げると、その同じ人が、 さっきとは全然違う感じで、和やかにニコニコしながら 本当にいい雰囲気をあふれさせているんです。 え? これが同じ人かと思って。 そうしたらその人の視線が ずーっと遠くにいってるんです。 何がこの人をこんなに変えたんだろうと思って、 視線をずっと追っていったら、 赤ちゃんがその人に手を振っていたんです。 私はそれを見たときに、ああ、 これからの世の中はいろんな変化が起こるけれども、 大事なのは、一人ひとりが、人に接したときに、 あるいはいろんな出来事のなかで、 その人の人間の深いところにある優しさ、人間らしさ、 そういうものを引き出すような生き方を することではないかと、しみじみ感じたんですね。 私は目の前に座っていて、 いやな人と目を合わせないようにしていたから、 私からもいやなものが伝わっていったと思うんです。 でも赤ちゃんは本当に無心にその人にある 人間的な優しさを引き出したんです。 |
2013.04.12 |
顔の化粧ではなく、心の化粧を 渡辺和子(ノートルダム清心学園理事長) 人間の進むべき道というようなことは、 難しくてよくわかりませんけれども、 とにかくまずは自信を取り戻すことですね。 しかもそれは正しい意味での、 人間しか持たないぬくもり、優しさ、強さであり、 自分と闘うことができ、自分の欲望に ブレーキをかけることができるということへの信頼です。 例えば、私はいま学生たちに、 「面倒だからしましょうね」 っていうことを言ってるんです。 面倒だからする。 そういう心を学生たちはちゃんと持っています。 それは強さだと思うんです。 そういう、人間にだけ神様がくださった、 神の似姿としてつくられた、人間にのみ授けられた 人間の優しさと強さ。かけがえのない、 常に神様に愛されている自分としての自信。 そういうものを取り戻して生きていかないと、 科学技術の発達するままのこれからの時代に、 人間の本当の姿が失われてしまうのではないかと思います。 いまの学生たちは、ポーチの中にお化粧道具を いっぱい持っています。 だから彼女たちには、お金をかけてエステに通ったり、 整形手術を受ければ綺麗にはなるけれど、 美しくなるためには、面倒なことをしないとだめなのよ、 と言っているのです。 自分が座った椅子は元どおりに入れて立ちましょうね。 落ちている紙屑は拾いましょう。 洗面台で自分が落とした髪の毛は取って出ましょう。 お礼状はすぐに書きましょう……というように、 なるべく具体的な行動の形で示してやります。 「ああ、面倒くさい、よそう」と思わないで、 「ああ、面倒くさいと思ったらしましょうね」と言うと 学生も、何か変な標語のようだなと思いながらも、 覚えていってくれるみたいです。 「人はある程度の年を取ったら、 それ以上綺麗にはならないけれど、 より美しくなることはできます。 その美しさというのは、中から輝いて出るものだから、 自分と闘わないと得られません。 お金では買えないのよ」 ということを言うと、 「ああ、シスター、顔の化粧ではなくて、 心の化粧なんですね」 と言ってくれます。 |
2013.04.11 |
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