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      次代に輝く住まいを創る

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一語履歴WORD vol.032

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婦人の心を一変させた赤ちゃん...
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最も難しく、かつ最も大事なことが...
「婦人の心を一変させた赤ちゃん」

        鈴木秀子(文学博士)

私、この間こういう体験をしたんです。

渋谷から横浜に行く東横線で、
目の前の座席に、五十代半ばぐらいの、
上から下までブランド品で身を固めた
ご婦人が座ってたんです。

きれいな人なんですが、どこかしら、
なんとも言えない陰気な雰囲気が漂っているんですね。

私はどうしてこういう人と向かい合わせに座ることに
なっちゃったんだろうと思いながら、
頭の中で、この人はきっと家で喧嘩してきたに違いないとか、
そんなことを考え始めたんです。

そこで気分を変えようと本を読み始めて、
しばらく後で目を上げると、その同じ人が、
さっきとは全然違う感じで、和やかにニコニコしながら
本当にいい雰囲気をあふれさせているんです。

え? これが同じ人かと思って。
そうしたらその人の視線が
ずーっと遠くにいってるんです。

何がこの人をこんなに変えたんだろうと思って、
視線をずっと追っていったら、
赤ちゃんがその人に手を振っていたんです。

私はそれを見たときに、ああ、
これからの世の中はいろんな変化が起こるけれども、
大事なのは、一人ひとりが、人に接したときに、
あるいはいろんな出来事のなかで、
その人の人間の深いところにある優しさ、人間らしさ、
そういうものを引き出すような生き方を
することではないかと、しみじみ感じたんですね。

私は目の前に座っていて、
いやな人と目を合わせないようにしていたから、
私からもいやなものが伝わっていったと思うんです。

でも赤ちゃんは本当に無心にその人にある
人間的な優しさを引き出したんです。
2013/04/12
「顔の化粧ではなく、心の化粧を」

        渡辺和子(ノートルダム清心学園理事長)

人間の進むべき道というようなことは、
難しくてよくわかりませんけれども、
とにかくまずは自信を取り戻すことですね。

しかもそれは正しい意味での、
人間しか持たないぬくもり、優しさ、強さであり、
自分と闘うことができ、自分の欲望に
ブレーキをかけることができるということへの信頼です。

例えば、私はいま学生たちに、
「面倒だからしましょうね」
っていうことを言ってるんです。

面倒だからする。

そういう心を学生たちはちゃんと持っています。
それは強さだと思うんです。

そういう、人間にだけ神様がくださった、
神の似姿としてつくられた、人間にのみ授けられた
人間の優しさと強さ。かけがえのない、
常に神様に愛されている自分としての自信。

そういうものを取り戻して生きていかないと、
科学技術の発達するままのこれからの時代に、
人間の本当の姿が失われてしまうのではないかと思います。

いまの学生たちは、ポーチの中にお化粧道具を
いっぱい持っています。

だから彼女たちには、お金をかけてエステに通ったり、
整形手術を受ければ綺麗にはなるけれど、
美しくなるためには、面倒なことをしないとだめなのよ、
と言っているのです。

自分が座った椅子は元どおりに入れて立ちましょうね。
落ちている紙屑は拾いましょう。
洗面台で自分が落とした髪の毛は取って出ましょう。
お礼状はすぐに書きましょう……というように、
なるべく具体的な行動の形で示してやります。

「ああ、面倒くさい、よそう」と思わないで、
「ああ、面倒くさいと思ったらしましょうね」と言うと
学生も、何か変な標語のようだなと思いながらも、
覚えていってくれるみたいです。

「人はある程度の年を取ったら、
 それ以上綺麗にはならないけれど、
 より美しくなることはできます。

 その美しさというのは、中から輝いて出るものだから、
 自分と闘わないと得られません。
 お金では買えないのよ」

ということを言うと、

「ああ、シスター、顔の化粧ではなくて、
 心の化粧なんですね」

と言ってくれます。
 
2013/04/11

「知好楽」

パナソニックの社名が松下電器だった時期、
山下俊彦という社長がいた。

昭和五十二年、先輩二十四人を飛び越えて社長になり、
話題となった人である。

弊誌にも親しくご登場いただいたが、
率直、明晰なお人柄だった。

この山下さんが色紙を頼まれると、好んで書かれたのが
「知好楽」である。

何の説明もなしに渡されると、
依頼した方はその意味を取りかねたという。

この出典は『論語』である。

子曰く、これを知る者は、これを好む者に如かず。
これを好む者は、これを楽しむ者に如かず。

(これを知っているだけの者は、これを愛好する者におよばない。
 これを愛好する者は、これを真に楽しむ者にはおよばない)

極めてシンプルな人生の真理である。
仕事でも人生でも、それを楽しむ境地に至って
初めて真の妙味が出てくる、ということだろう。

稲盛和夫氏。京セラの創業者であり、
経営破綻に陥った日本航空を僅か二年八か月で
再上場に導いた名経営者である。

この稲盛氏が新卒で入社した会社はスト続きで給料は遅配。
嫌気がさした稲盛氏は自衛隊に転職しようとするが、
実兄の反対を受け、そのまま会社に止まった。

鬱々とした日が続いた。
会社から寮への帰り道、
「故郷」を歌うと思わず涙がこぼれたという。

こぼれた涙を拭って、こんな生活をしていても仕方がない、
と稲盛氏は思った。自分は素晴らしい会社に勤めているのだ、
素晴らしい仕事をしているのだ、と思うことにした。

無理矢理そう思い込み、仕事に励んだ。
すると不思議なもので、あれほど嫌だった会社が好きになり、
仕事が面白くなってきたのだ。

通勤の時間が惜しくなり、布団や鍋釜を工場に持ち込み、
寝泊まりして仕事に打ち込むようになる。
仕事が楽しくてならなくなったのだ。

そのうちに一つの部署のリーダーを任され、
赤字続きの会社で唯一黒字を出す部門にまで成長させた。
稲盛氏は言う。

「会社を好きになったこと、仕事を好きになったこと、
 そのことによって今日の私がある」

知好楽の人生に及ぼす影響が
いかに大きいかを示す範例である。
 
2013/04/09

「市井の剣道」

        一川 一(いちかわ・はじめ=剣道教士八段)

中学時代に剣の道に分け入り、
気がつけば早半世紀以上が経ちます。
修練を重ねるほどにこの道の奥深さ、険しさを痛感するいま、
私の大切な拠り所となっているのが、父の遺してくれた教えです。

範士八段、当代一流の剣道家にして
野田派二天一流第十七代でもあった父は、
終生求道の歩みを止めることなく、
その人生を通じて得た様々な学び、
悟りを膨大な紙片に書き遺しました。

「剣道は、元来、相殺傷する技術を学ぶので、
 残忍殺伐な道のように思われるむきもあるが、
 決してそのようなものではなく、
 あくまで教育的、道徳的な体育であり、精神修養法である」

「剣道で、勝ちさえすればよいという試合や、
 それを目的とした稽古をしていたのでは
 決して本物にはなれない。

 目先の勝敗にとらわれず、基本に忠実な正しい稽古を
 地道に積み重ねる。
 稽古の本旨はここにあり、それが大成への大道である」

最近の剣道は、父の説く「大成への大道」から外れ、
勝ち負けにばかり目を向けがちなことが気掛かりです。

大会などで華々しく活躍するのはごく一部の人であり、
大半はそうした華やかな場とは
あまり縁のないところで黙々と修業に励む
“市井”の剣道家です。

では、試合という目標のない剣道家たちが
目指すべきものはなんでしょうか。

私は剣の五徳、
即ち正義、廉恥、勇武、礼節、謙譲だと考えます。
もちろんこれは、大会に出場する人も目指すべき普遍的な目標です。

父の生前、こんな諭しを受けました。

「お前は道場の門をくぐる時、『よし、やるぞ』と
 両刀手挟んで入ってくるが、それは逆だ。
 日常こそが本当の真剣勝負の場であり、
 道場から出て行く時にこそ気を引き締めなければならない」

確かに道場の中は、防具を着け、
指導者の下で技術を修める場にすぎません。
剣道家としての真価が問われるのは
まさに日常の場なのです。

同じく剣道を学んでいた兄は、大学時代に
九州チャンピオンになるほどの腕前でしたが、
就職後は竹刀を握る機会もなく、
職場での苦しい胸中を父に打ち明けていたのを
側で聞いたことがあります。

父は兄に「お前は剣道を学んできたのだろう」とたしなめ、
こう諭しました。

「剣道の技量を伸ばすには、
 厳しい先生にかからなければならない。

 職場も一緒だ。厳しい上司に打たれても、打たれても、
『お願いします』と真摯に向かい続けなさい」

自分の弱さを隠すことなく、真剣に打たれること。
打たれる度に反省し出直すこと。

兄は父のアドバイスを心に努力を重ね、
その後営業でトップの成績を収めました。

いくら剣道の修練を積んでも、
それで生計を立てていくわけではありません。
大切なことは、道場で学んだ業を
一般社会で実行していくこと。

修業から修行へと昇華していくことです。

剣道の稽古は自分一人ではできません。
相手があって初めて成り立ちます。
そして相手は打ち負かす敵ではなく、
自分を育ててくれる師なのです。  
 
2013/04/08

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