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1978年にデビューして以来、「乾杯」「巡恋歌」「とんぼ」「MOTHER」など 数々のヒット曲を世に送り出し続けているシンガーソングライターの長渕剛さん。 (長渕さんにとってお母様はどういう存在ですか?) 〈長渕〉 どう振り返っても、母は僕の師ですね。 僕が生まれる前に兄を生後間もなく亡くしていますので、 念願の男の子だったと思います。 当時は高度経済成長の走りの頃で貧しかったですし、 僕は非常に病弱なガキでした。 父は警察官で地域のために 一所懸命外回りをしていましたから、 ほとんど家に居ない。 母から影響を受けたっていうか、 ほとんど母子家庭みたいなもんです。 一番厳しかったのは、 「嘘をつかない」ということですね。 (ああ、嘘をつかない。) 〈長渕〉 小学生の時に習い事をサボったことがありました。 その嘘が母にバレて、 そういう時は決まって三回問い詰められるんです。 神仏の前に正座させられて、 「行ってないよね」と聞かれて「行った」って答える。 「二回目、聞くよ」 「いや、ちゃんと行ったんだ」。 で、三回目になるとやっぱり良心の呵責というか、 三回も嘘をつくのかと後ろめたくなって、 「嘘だよね」って言われた時に黙っちゃう。 そうすると、真っ暗な押し入れの中に 一時間くらい放り込まれた後、 再び神仏の前に正座させられ、母が 「心はどこにある」 と聞くんです。僕は 「……うーん……どっか、このへん」 と自分の胸の辺りを指します。 すると母は、ビシッと、 「どこだか分からないから、 自分の心を示すために言葉と行動があるんだよ! 言葉と行動そのものがあんたの心!! 覚えておきなさい」 と言うんです。 (含蓄に富んだ教えです。) だからといって、生涯嘘をつかないで 生きてきたわけじゃないんですが、 ただやっぱり人が不幸になる嘘ってありますから、 それは小さい頃から言わないようにしてきました。 それから母は苦しい時や悲しい時に、 よく歌を口ずさんでいました。童謡です。 おそらく僕のDNAに刻み込まれている メロディーっていうのは、母を通して聴いた童謡が 非常に大きく影響しているんじゃないかなと思います。 |
2022.07.18 |
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