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企画書を書いてみたら? 自分が本当にやりたい仕事を掴み取り、 それを達成した時の喜びは、 何ものにも代え難いものがあります。 元アナウンサーで弁護士として活躍中の 菊間千乃さんの20代の頃の体験談。 アナウンサーの仕事を辞めたいと 悩んでいた菊間さんですが、 自ら立てた企画を成し遂げることで、 周囲から認められる存在になっていきます。 (菊間) 入社後は報道キャスターとして活躍したいと考えていました。 ところが、入社後最初に担当したのはバラエティ番組で、 ニュースを読む機会は一度もなく 悶々とした日々を過ごしました。 2年目は情報番組の担当となり、 コメンテーターの有識者の方から 教わることも数多くありました。 後に東京都知事を務めた猪瀬直樹さんには、 一冊読み終わってから次の本を買うのではなく、 書店で気になった本はケチらずに 全部買うことを勧められました。 自宅の本棚に並べておくことで、 自分がどんなことに興味を持っているかがよく分かるし、 いま読まなくても、いつかきっと必要になる時が来るからと。 その情報番組では、 スタジオでゲストや視聴者と一緒に社会問題について考え、 分かりやすく伝えることを学び、 やりがいを感じていました。 ただ、週一回の放送に備えて、他の日はすべて 取材用に空けておかなければなりませんでした。 取材がない時もずっとスタッフルームに待機しなければならず、 他の仕事の依頼があっても断るしかない。 せっかく本番を迎えても、 自分の喋る時間はほんの僅か。 一方、同期のアナウンサーは何本も番組に出演している。 何のためにアナウンサーをやっているんだろうか…… ものすごく辛くて、悔しくて、 辞めたいと思いながら 泣いたことも一度ではありませんでした。 そんな折、取材で一緒になったディレクターから、 「企画書を書いてみたら?」と勧められました。 脳裏に浮かんだのは、以前機内誌で読んだ 埼玉県長瀞町にある老舗かき氷店・阿左美冷蔵さんでした。 同店の四代目当主・阿左美哲男さんは、 百年に一回ほどしか取れないという濁りのない天然氷づくりに 人生を懸けている方です。 その姿を1年かけて追うドキュメンタリー番組を企画したところ、 採用されたのです。 あてがわれた予算は400万円。 ディレクターとカメラマンと音声さんで4人のチームを組み、 そこから1年間、情報番組を終えた土曜日の午後と日曜日に、 長瀞まで車を走らせて取材を重ねました。 ご家族の猛反対を押し切り、 一流電機メーカーを辞めて家業に入った阿左美さんと意気投合し、 取材が終わる度に囲炉裏を囲んで お互いの悩みを打ち明け、励まし合ったものです。 1年間ほぼ休みなしでしたが、 自分で企画した仕事のため苦痛は全く感じませんでした。 無事撮影が終わってテレビで放送され、 冒頭で「企画・菊間千乃」というテロップが流れた時の感動は、 いまでも忘れられません。 本当にやりたい仕事を自ら掴み取った喜びから、 それまで嫌だと思っていた他の仕事まで楽しくなり、 前向きに取り組めるようになりました。 その姿が他のプロデューサーの目に留まり、 3年目から「めざましテレビ」に出演したことをはじめ、 人気番組に次々と抜擢されるようになったのです。 |
2022.06.21 |
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