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自分と一つになっているものがある 日本人ピアニストの母とスウェーデン人の父との間に 生まれたフジコ・ヘミングさん。 幼少の頃からピアニストとしての才能を発揮するも、 16歳の時に中耳炎で右耳の聴力を、 35歳にドイツでのリサイタル直前に 左耳の聴覚を失うという困難に見舞われます。 (――これまでを振り返って、ご自分の人生をどのように思われますか。) 〈ヘミング〉 運命ね、運命。そうとしか言いようがない。 (――運命というと?) 〈ヘミング〉 夢というと、なんだかほんわりして、 ロマンチックな感じがするでしょ。 だけど、もっと厳しいもの、 自分と一体になったものを夢というなら、 私は確かに夢を持ち続けた。 神様はちゃんとそれを見ていてくださって、 いま分け前を与えてくれているんだと思う。 この神様の思し召し、それが運命ということよ。 (――ヘミングさんにとっては 自分と一体になったもの、夢とはなんですか。) 〈ヘミング〉 もちろんピアノですよ。食べるものがなくて、 猫の餌だけは与えて、自分は砂糖水だけを飲んで、 それでもピアノはやめなかった。 誰も聴いてくれる人がいなくても、 猫しか聴いてくれなくても、私はピアノを弾いて、 弾いて、弾いてきた。それはピアノが私そのものだから。 ピアノがなければ私はない。 そういう意味では、ピアノを私に与えてくれた すべてに感謝のほかはありません。 そして、私のピアノを聴いて感動してくれる人がいる。 それは私がわかってもらえたことです。 こんなありがたいことはありませんね。 夢を持つ、夢を追いかけるなんていうのは、 夢と自分との間に距離があるでしょう。 そうではなくて、自分と一つになっているものがある。 そういうものがあると、運命が巡り巡って、 神様は必ず配慮してくれる。そんな気がします。 逆にいうと、自分と一つになっているものがないと、 運命もまたそれなりのものでしかなくなってしまう、 ということじゃないのかな。そんなふうに思いますね。 |
2020.09.25 |
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