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ありがとう 461a言えば言うだけ 461b子守唄の力
ありがとう
        筑波大学名誉教授 村上和雄

(村上)
「ありがとう」を漢字にすると、「有り難う」。
つまり、有り難いこと=めったにないこと=奇跡
という意味があり、もともと仏教に由来しています。

ある時、お釈迦様が阿難という弟子に、
人間に生まれたことをどれくらい喜んでいるかと尋ね、
阿難が答えに窮していると、
お釈迦様は次のような譬え話をしました。

「果てしなく広がる海の底に、目の見えない亀がいる。
その亀は、百年に一度、海面に顔を出す。
 
広い海には一本の丸太が浮いている。
その丸太の真ん中には、小さな穴がある。
丸太は、風に吹かれるまま、波に揺られるまま、
西へ東へ、南へ北へと漂っている。

阿難よ、百年に一度浮かび上がるその目の見えない亀が、
浮かび上がった拍子に、丸太の穴に、
ひょいっと頭を入れることがあると思うか」

「とてもありえないことです」

「ところが、阿難よ、私たちが人間に生まれることは、
その亀が、丸太棒の穴に首を入れることがあるよりも、
難しいことなのだ。有り難いことなのだ」

そう教えたのだそうです(「盲亀浮木の譬え」より)。
 
私たちは人間として生まれてきたことを
当たり前のように思っていますが、実は何億年、
何兆年に一度しかないような稀なことなのです。

2020.03.30

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