過去の一語履歴を見ることが出来ます。
柔の道で真の人間をつくる 山口 香(筑波大学大学院准教授) 村上和雄(筑波大学名誉教授) 世界柔道選手権大会で日本女性初の金メダリストとなり 「女三四郎」と讃えられた山口香。 【村上】 山口さんといえば、2013年、 女子柔道の強化選手が 指導者の暴力を告発した時、 選手側のサポート役を引き受けたことで 注目を集められました。 暴力だけでなく、 それを生み出している柔道界の 金メダル至上主義にも 疑問を投げ掛けていらっしゃいましたね。 【山口】 ええ。ただ、誤解を招かないように 申し添えておくと、 私は金メダルを目指すことは とても素晴らしいことだと思っています。 目標があるからこそ人は頑張れるし、 高みを目指すことで それまで見えなかった世界が 開けるっていうことがありますから。 私が言いたいのは、 金メダルは選手としての頂点であって、 決して人生の頂点ではない ということなんです。 ところが、世の中の人は 金メダルを取ったら、 人間としても完成されたかのように 勘違いしてしまうんです。 二十代の未熟な青年なのに 完成形を期待してしまう。 また、メダリスト本人も その雰囲気に乗せられて、 あたかも人間としての頂点に 立ったかのような錯覚に 陥ってしまうんです。 【村上】 若くして頂点に達してしまうと、 その後が大変ですよ。 【山口】 ビジネス社会の価値観は スポーツの世界とは全く違いますから、 スポーツで評価された人間ほど 脆いのは確かですね。 それに、本当は 金メダルの重圧というのは 大変なものなんです。 金メダリストというプレッシャーを 生涯背負っていかなくてはいけない。 「金メダルは なかったことにしてください」 「もう要りません」 なんて絶対に言えません。 その時、問われるのは メダリストが生涯を懸けて 世の中の人たちが求める、 人間としての金メダリストに近づいていく 覚悟があるかどうかです。 |
2016.08.12 |
〒979-0154
福島県いわき市沼部町鹿野43
Mail infous@kushida-web.com
TEL 0246-65-2311
FAX 0246-65-2313
定休日:土曜日・日曜日