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言いたいことがはっきりと言える 広島県教育委員会教育長として 脚光を集める平川理恵さんです。 【平川】 会社経営は順調でした。 しかし、次第に若い人が留学しなくなり、 ミッションを十分に追求していけなくなった。 このまま続けることもできたと思いますが、 自分の心に嘘はつけず、10年で会社経営に区切りをつけ、 1年ほどは静かに自分を見つめてみたいと思いました。 横浜市で民間人校長の募集があったのはそういう時でした。 私、教員免許は持っていないんです。 でも、海外の学校を500校くらい見てきた経験が 教育に生かせるのではと思って応募しました。 面接では、一人の保護者として学校が いかに世の中の変化についていけないでいるか、 知識注入ではなく子供の興味・関心を引く 体験型の授業の導入が必要なことなど、 私の感じたことを率直にお伝えして、 100人の応募者の中から採用していただきました。 民間人校長としては女性初でしたね。 【田口】 その思いを教育現場で形にしていかれた。 【平川】 ええ。まずはどんどん授業を見にいきました。 生徒に交じって50分間の授業を受けて先生に感想を伝えたり、 頑張っている先生たちの姿を撮影してホームページや 毎月の「学校便り」で発信したりしました。 先生というのは一所懸命に頑張っていても 人に褒められることが少ないのです。 そういう先生方に光を当てることで 現場の意識は変わっていきました。 【田口】 そういう取り組みや実績が広島県知事の 湯﨑英彦さんの目に留まったのですね。 【平川】 2017年でしたが、ある方を通して食事に招待され、 その場で「県の教育長になってほしい」と打診されました。 行政のことは何も知りませんし、 「何で私なのでしょうか。ハイリスクですよ」 と言ったら 「分かっています。ハイリターンを狙います」と(笑)。 私はいろいろ考えるよりも まず現地に行くことを信条としていますので、 レンタカーを借りて一人で広島県内を回り、 いろいろな人に話を聞いた上で判断することにしました。 そこで分かってきたのが、 県の教育界は少し前まで文部科学省から 是正指導を受けるほど混乱していたことです。 校長の権限が確立されていないために、 何人かの校長先生が周囲の圧力に耐えられずに 自ら命を絶つという悲劇まで起きていました。 湯﨑知事は私に 「言いたいことがはっきりと言える 教育現場と教育委員会にしてほしい。 組織風土を変えてほしい」 とおっしゃっていましたが、 そのことの意味がようやく分かりました。 |
2022.01.05 |
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