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大学生の時に難病「潰瘍性大腸炎」を発症し、 13年に及ぶ壮絶な闘病体験を送った頭木弘樹さん。 入退院を繰り返す絶望の日々を救ってくれたのが 読書から学んだ心の持ち方だったといいます。 (――いま人生に苦しんでいる方に 特に伝えたい文豪の言葉、 作品から得た学びなどはありますか。) (頭木) それは、カフカの日記や手紙に出てくる次の言葉ですね。 「将来に向かって歩くことは、ぼくにはできません。 将来に向かってつまずくこと、これはできます。 いちばんうまくできるのは、倒れたままでいることです。」 「生きることは、たえずわき道にそれていくことだ。 本当はどこに向かうはずだったのか、振り返ってみることさえ許されない。」 (――含蓄のある深い言葉です。) (頭木) 入院してしばらくは、 病気の自分はあくまで仮の姿であって、 何とか起き上がらなくてはいけないと焦ってばかりいました。 でもこのカフカの言葉に接して、 カルチャーショックを受けたというか、 「しばらく倒れたままでもいいじゃないか」と、 考え方を転換することができたんです。 そして本当に絶望している時に、 「起き上がらなきゃ」っていう考え方、 要するに人間は右肩上がりで成長し続けるもの、 一直線に成長しなければいけないものだという 価値観でいると、むしろどんどん辛くなっていって、 起き上がれなくなってしまうことに気づいたんですね。 逆に倒れたままでいる期間も 人生にはあるんだという心境になれれば、 苦しさは減るものです。 |
2021/12/09 |
「心の才能を伸ばす」 井村雅代氏(一般社団法人 井村アーティスティックスイミングクラブ代表理事) 〈井村〉 9回目のリオオリンピックでは、 試合に臨む前から厳しい試練に立たされました。 選手村の環境がこれまでで最悪だったのです。 トイレは詰まる、シャワーは途中から水になる、 パンは粉のようにパサパサ、レタスは茶色、バナナは真っ黒。 いまの豊かで清潔な日本で育った選手たちには かなりのストレスだったと思います。 最も酷かったのが試合用のプールでした。 プールに藻が発生して 水がどんどん緑色になっていったことは、 ニュースでご存じの方も多いと思います。 それだけならまだ対処できるのですが、 水に潜った選手たちから 「先生、藻だけじゃないんです。 小さな泡だらけで水の中が全然見えないんです」 と言われて、 バクテリアが発生していることが分かりました。 その水を飲んだら病気になりますから、 これはさすがにダメですよね。 それが分かったのが前日の夕方でした。 近くにある別のプールの水を急遽ポンプで 汲み出して移すことになりましたが、 試合当日の朝になっても、 水深3メートルのプールに まだ2メートルしか水が入っていない。 私は、これではとても間に合わないと思い、 他国のコーチたちと一緒に 「試合前に一回でもいいから 選手たちに練習をさせたいので、 給水を急いでほしい」と組織委員会に訴えに行き、 何とか事なきを得たのでした。 とにかく最悪の条件の中で臨んだオリンピックでしたが、 そんな時、選手の前に立つ私が 絶対にしてはいけないことは、愚痴を言うことです。 「こんなオリンピックってないよ」 と言ったら、皆も愚痴を言い始めます。 まずは、これがリオオリンピックなんだと認めること。 そして私は選手たちに 「この環境の中から金メダルは生まれるのよ」 と言いました。条件はどこも一緒なんだと。 そこに至るまでに徹底的に仕上げてきた国は、 何が起こってもやっぱり崩れないんです。 崩れない国の第一番はロシアでした。 二番目に崩れなかったのは、 たぶん日本だったと私は思います。 |
2021/12/09 |
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