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自分のせいにするという傾向が強い 明治から大正、昭和にかけて活躍した文豪・幸田露伴。 数々の小説のみならず『努力論』や『修養論』など、 人生修養――自らを高め、人生を発展させる秘訣を説いた 随想も書き残していることで知られています。 〈渡部〉 『努力論』はいまも私の座右にあり、 年に一度は読み返しています。 そこに示されている人生の要訣は 常に私の思いを新たにし、その実践に向かわせます。 露伴は人生における運を大切に考えています。 運というと他に依存した安易で卑俗な 態度のように思われがちです。 だが、露伴の言う運はそんなものではありません。 その逆です。 露伴は人生における成功者と失敗者を観察し、 一つの法則を発見します。露伴は言います。 「大きな成功を遂げた人は、 失敗を人のせいにするのではなく 自分のせいにするという傾向が強い」 物事がうまくいかなかったり失敗してしまった時、 人のせいにすれば自分は楽です。 あいつがこうしなかったから うまくいかなかったのだ―― あれがこうなっていなかったから失敗したのだ―― 物事をこのように捉えていれば、 自分が傷つくことはありません。 悪いのは他であって自分ではないのだから、 気楽なものです。 だが、こういう態度では、 物事はそこで終わってしまって、 そこから得たり学んだりするものは何もありません。 失敗や不運の因を自分に 引き寄せて捉える人は辛い思いをするし、 苦しみもします。 しかし同時に、 「あれはああではなく、こうすればよかった」 という反省の思慮を持つことにもなります。 それが進歩であり前進であり向上というものです。 失敗や不運を自分に引き寄せて考えることを続けた人間と、 他のせいにして済ますことを繰り返してきた人間とでは、 かなりの確率で運のよさがだんだん違ってくる、ということです。 |
2021.12.18 |
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