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「国民教育の師父」といわれた 森信三先生の代表的著作『修身教授録』。 (北尾) 森信三先生の思想哲学の根底に流れるものに 「相対観からの解脱」という考え方があります。 私たちは、地位や名誉、財産など あらゆる問題を他の人と比較しながら 相対の基準で生きています。 その結果、嫉妬心や憎しみなど 様々な感情が生まれて自他を蝕んでいきます。 ところが、比べることをやめることで 「絶対最上」になると森先生はおっしゃっています。 自分が尊い人身を天から与えられた 唯一無二の最上の存在であることに気づくというのです。 天という大きな視点から見たら、 自分は賢いと思っている人も、 愚かだと思っている人も大した差はありません。 仏教ではこれを「賢愚一如」と言います。 自分が絶対最上の存在であるとすれば、 他人を気にすることなく、自分が為すべき務めを、 ただ淡々と一所懸命にやりさえすればいいのです。 私の事業家としての経験から見ても、 相対観で物事を判断する人は決して大成することがありません。 自分という小さい枠に囚われてしまって、 大きな視野を見失ってしまうのです。 逆に、私利私欲を捨ててでも社会全体を よくしていこうという大欲を持つ人材の中にこそ 真に大成する人物がいると言ってもよいでしょう。 |
2021/12/21 |
明治から大正、昭和にかけて活躍した文豪・幸田露伴。 数々の小説のみならず『努力論』や『修養論』など、 人生修養――自らを高め、人生を発展させる秘訣を説いた 随想も書き残していることで知られています。 〈渡部〉 『努力論』はいまも私の座右にあり、 年に一度は読み返しています。 そこに示されている人生の要訣は 常に私の思いを新たにし、その実践に向かわせます。 露伴は人生における運を大切に考えています。 運というと他に依存した安易で卑俗な 態度のように思われがちです。 だが、露伴の言う運はそんなものではありません。 その逆です。 露伴は人生における成功者と失敗者を観察し、 一つの法則を発見します。露伴は言います。 「大きな成功を遂げた人は、 失敗を人のせいにするのではなく 自分のせいにするという傾向が強い」 物事がうまくいかなかったり失敗してしまった時、 人のせいにすれば自分は楽です。 あいつがこうしなかったから うまくいかなかったのだ―― あれがこうなっていなかったから失敗したのだ―― 物事をこのように捉えていれば、 自分が傷つくことはありません。 悪いのは他であって自分ではないのだから、 気楽なものです。 だが、こういう態度では、 物事はそこで終わってしまって、 そこから得たり学んだりするものは何もありません。 失敗や不運の因を自分に 引き寄せて捉える人は辛い思いをするし、 苦しみもします。 しかし同時に、 「あれはああではなく、こうすればよかった」 という反省の思慮を持つことにもなります。 それが進歩であり前進であり向上というものです。 失敗や不運を自分に 引き寄せて考えることを続けた人間と、 他のせいにして済ますことを 繰り返してきた人間とでは、 かなりの確率で運のよさがだんだん違ってくる、 ということです。 |
2021/12/18 |
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