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何が人生の成否を分けるのか 「日本の資本主義の父」と称される渋沢栄一。 東洋の古典や人物に造詣の深い田口佳史氏と 渋沢栄一の玄孫である渋澤健氏が語る。 【田口】 私はこれまで一万人ほどの塾生を指導してきた中で、 「こんなに真面目で誠実にも拘らず、 なかなか周囲から認められない、 不遇の人生を送る人がいるのはなぜだろう」 とずっと思っていました。 そうしたら『論語と算盤』に その答えが書いてあったんです。 「人の行為の善悪は、その志と所作と相俟って 較量せねばなるまい。 志が如何に真面目で忠恕の道に契っていても、 その所作が遅鈍であるとか、放僻邪侈では何にもならぬ。 志においては、飽くまで人の為になれかしと思って居ても、 その所作が人の害となるようでは善行といわれぬ」 所作が大事だというんですね。 いかに志がよくても、立ち居振る舞いが偉そうとか、 もたもたしているとか、気が利いていないとか、 そういう人はダメだと。 【渋澤】 所作にあると端的に指摘しているところがまさに慧眼です。 【田口】 立志には「大立志と小立志」の二つが 必要だとも言っています。 天下国家を語るだけの人は 案外うまくいかないと。何が足りないか。 「根幹となるべき志が立ったならば、 今度はその枝葉となるべき小さな立志について、 日々工夫することが必要である」 大きな志を立てたら、必ず具体的な 小さな志を幾つか用意して、 毎日取り組まなければいけないと。 【渋澤】 渋沢栄一自身がそうやって実践してきましたよね。 【田口】 「私は『論語』で一生を貫いてみせる」って 言っているわけですから。これはすごい言葉です。 |
2020.10.13 |
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