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一つのことを黙々と続けていく 東京藝術大学を首席で卒業し、 ピアニストとして早くから頭角を現していた舘野泉さん。 フィンランドに単身移住、自身の音楽性を開花させ 世界的な評価を獲得されます。 そんな舘野さんを脳出血が襲ったのは2002年。 片手が動かないという演奏者として 跳ね返しがたいハンディを負います。 (舘野) 「悲しみの底に光るもの」ということですが、 僕もまた病気を通していろいろな世界が見えてくるようになりました。 例えば、周りの人たちは僕の姿を見てやはり不自由だなと思われるだろうし、 「早く回復して右手が使えるようになったらいいですね」とおっしゃる方もいます。 早く治るために鍼をしたらいいとか、 この整骨院がいいとか勧めてくださる方も少なくありません。 だけど僕自身はこの現状に何の不足、不満もないんです。 もちろん、昔は一人で自由に行動して、 いろいろなことを楽しむことができた。 倒れてからはそれが制限されちゃって、 一人で出歩くことはほとんどありません。 うちにいる時はピアノを弾いているか本を読んでいるか、 そうでなきゃ寝ているか食事をしているか、 それくらいの生活だけれども、それで十分満足しています。 右手が治る、治らないということもほとんど考えることはないですね。 (舘野) 僕はこれまで人生の計画を立てたことがないんです。 何かをやっていれば、次にやりたいことが出てきましたからね。 だから一つのことを黙々と続けていくことで、 自然に新しい道が開けるのだと思うんです。 |
2020.10.12 |
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