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自分の意見として語れるように読め 「日本の資本主義の父」と称され、 いまなお注目を集める渋沢栄一。 【田口】 古典を古典として読むのではなく、 水先案内人として読まれたところが素晴らしい。 渋沢栄一もまさにそういう読み方をした人物ですが、 彼に学問を授けた師が尾高藍香(らんこう)(惇忠)です。 五歳頃から約10年間、薫陶を受けており、 この人が渋沢栄一の人格の根を養ったと 言っても過言ではありません。 その尾高藍香が 富岡製糸場を軌道に乗せるわけですね。 当時の養蚕技術では年に1回しか生糸が採れなかったものの、 尾高藍香は飼育法を研究し、年に2回採れるようにした。 明治新政府の稼ぎ頭は絹ですから、 それを倍採れるようにしたということは、 尾高藍香が当時の国家の財政的な 基盤をつくったと言ってもいいんですよ。 そういう人が渋沢栄一の 先生だったことは忘れてはいけません。 尾高藍香の指導については 『雨夜譚(あまよがたり)』によく出てきますが、 ただ字面を追うだけで古典を読んだ気になってはダメ、 自分の意見として語れるように読めと言われたと。 ですから、渋沢栄一は実践的に頭脳を 駆使することを毎日繰り返しながら、 『論語』をはじめ「四書五経」を勉強したんです。 【渋澤】 渋沢栄一の父も「四書五経」をよく読んでいたそうですね。 【田口】 朝、食事をしている時に、 父親が「栄一、いま何を読んでいるんだ」と。 「『論語』を読んでおります」と言うと、 「何か気に入った章句はあるか」。 こういう章句ですと答えると、 「それはどういうふうに解釈しているの」 と聞くっていうわけですよ。 「私はこういうふうに解釈しております」 「そうか。それはいいね。 でも、こういう解釈もあるんだぞ」 と言って新しい解釈を教えてくださったと。 これが我が家の朝食の姿だと述懐しています。 |
2020.10.09 |
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