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口にしたことは必ず実行する 安沢 直次(簿記講師) 東京都墨田区で毎年開催されている無料の 簿記講習会。その講師として94歳のいまも 教壇に立ち続けるのが安沢直次さん。 70年一度も休むことなく続けてこられたという、 信念に満ちた活動には頭が下がります。 戦後に新たな事業を 立ち上げられたのと、現在の講習会の母体を 形づくられたのは、ほぼ同時期だった ということでしょうか。 そうなんですよ。そのきっかけになったのは、 母親と一緒にお寺にお参りに行った時のことでした。 その道すがら、学校に行けずに うろうろしている小学生くらいの 子供さんたちがたくさんいたんです。 それを見た母親が、「あんた、学校の先生まで やっていながら、こういう子供さんたちを 何とも思わないの」って言うんです。 私だって何も思わないわけではなかったけど、 当時は自分たちが食べていくので 精いっぱいですから、そこまで頭が回らないわけです。 でも、そう言われたことでピンとくるものがあって、 その翌日から子供さんたちを集めて 私塾のような形で勉強を教え始めました。 ──どのくらいの数の子供さんたちが集まってきたのですか。 あっという間に80人くらいが集まりましてね。 とてもいっぺんには見切れないので二手に分けて、 午前と午後でそれぞれ5時間くらいずつかけて 毎日授業をしていました。それも戦後直後から 昭和26年頃までは昼間は電気がこなかったので、 丸太を椅子にして座らせて、お手製の黒板を 使っての青空教室でしたね。 ──いつ頃から簿記を専門に教えられる ようになったのですか? 簿記自体は早い時期からやっていました。 それこそ最初は子供さんたちが中心でしたから 算数とかいったことをやっていましたけど、 数年もすると学校に通える子供さんが増えていって、 逆に大人が多くなりましてね。その時に簿記を 教えてくれないかと、皆さん口々に言うわけですよ。 人から頼まれた以上は、絶対に責任を 持ってやるというのが私の信条ですから、 もちろん快く引き受けることにした。 その噂を聞きつけた税務署の方からは、 「いやぁ大したもんだね、安沢さんは。 簿記も教えられるんですか」って聞かれましたけど、 そんな経験は全然ない(笑)。 ──では、ご自身で勉強しながら 教えられたのですか? ええ。簿記の講習会は初日から満員御礼でしたから、 いくらボランティアとはいえ、引き受けたからに は必死になって勉強して教壇に立っていました。 当時の受講生の中には、有名人の方もいましたが、 まだ私塾だった頃には、当時小学生だった 王貞治さんもそろばんを習いに来ていたんですよ。 それがご縁で、ご両親には随分懇意に していただきました。当時は中華そば屋を 営まれていたので、たまに食べに行きましたが、 いくら言ってもお金を受け取ってくれない(笑)。 これには困りましたけど、王さんのご両親に限らず、 皆さんにはとてもよくしていただきました。 「口にしたことは必ず実行する」を信念に まっすぐに歩んでこられた安沢さんです。 |
2018/06/18 |
寛容もまた 『平澤興 一日一言』 寛容もまた誠実と 縁のないものではありません。 真に自らに忠実になろうとする者は、その困難さが分かるだけに、 他人の過ちや失敗に対しても、深い理解と愛情とを持つことが出来、 それだけ深い同情を持ってこれを許すことが出来るのであります。 |
2018/06/16 |
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