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人間は性情の良し悪し 安岡正篤 情緒の潤滑油が乏しいせいで、 知性も軋(きし)んで円通しない。 この頃は話のわからぬ人間がふえたようである。 しがない者はしばらく置いて、 ちゃんとした指導的立場にある知識人であって、 とんとわけのわからぬ者が少くない。 もっともマキャベリがすでに指摘しているが、 人の頭には三通りある。 その一は、自分ではっきり考の立つもの、 その二は、他人の考がよくわかるもの、 その三は、自分の考もなく、他人の考もわからぬもの。 他の所で、彼は又、どうせねばならぬかを 自ら知る者は上の人、 次は、他人の善い勧告を用いる人、 最下は、自ら人に忠告するすべも知らず、 又人の忠告にも従わぬ人間であることを挙げて説いている。 頭の良し悪しというが、 それよりも根本的に大切なことは、 やはり性情の良し悪しである。 我執の無い、よく人と打融けあえる 性情の人は自然に頭が良く、 自分自身知見が立たずとも、 賢者の意見を能く判断して用いることができるから、 なまじい私見が立つより、 もっと頭の良いことにもなるのである。 |
2016.08.26 |
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