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“学ぶ”は“真似ぶ” 野村 萬(人間国宝の狂言師) ──幼い頃から狂言の稽古をされたのですか。 それはとても厳しく育てられました。 祖父は家督を父に譲って隠居の身でしたから、 私の師は常に父でした。向かい合って正座をし、 父の言った台詞を復唱する。 抑揚なども真似て大きな声でひたすら繰り返すんです。 台詞を覚えたら今度は立っての稽古です。 何度やってもできないと引っぱたかれ、 戸棚に叩き込まれました。 そうやって怒られて泣きながら 稽古をしてきたんですが、母は口出しできないので、 助けに来てくれるのはいつも祖母でした。 「さぁお父さんに謝って、 これからまた一所懸命にお稽古なさい」と。 いつもその繰り返しでしたね。 ──狂言の基礎を徹底して叩き込まれたわけですね。 “学ぶ”は“真似ぶ”ということですから、 真似るには相当耳が働いていなくちゃいけません。 幼い頃は台本は見せませんから、 父の発する台詞を全身で捉える心を持っていないと 稽古というものは成り立たないんです。 長じてからは台本を見るようになるんですけれども、 私は台本を見ずに稽古をした年月が長い人間ですから、 その分、何かという時には力を 発揮できるんじゃないかと、ひそかに思っています。 一所懸命に台本を見て覚えたものは、 舞台が終わるとすぐに体から抜けちゃう。 要は体得ということがとても大事なんです。 |
2020.08.15 |
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