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それぞれに役割を与えることができる 『経営者を育てるアドラーの教え』(岩井俊憲・著) (岩井) リンゲルマンというフランスの 農学者がやった「綱引き実験」というものがあります。 1対1で全力を出して綱引きをしたときの力の単位を100としたとき、 各々がもう一人ずつ連れてきて2人対2人で綱引きをやると、 一人当たりの発揮できるパワーは100から上がるか下がるか。 3人1組で綱引きをやるとどうなのか。 もう少し人数を増やして8対8だとどうなるかということを実験したのです。 リンゲルマンの実験では、 2人1組のときにそれぞれが発揮する力は 1対1のときの93%になりました。 つまり、7%の手抜きをしていることがわかりました。 これが3人1組になると15%の手抜き、 8人一組の場合はなんと51%の手抜きが見られるという結果が出ました。 このデータにしたがえば、 全力を出す4人と手抜きをする8人で綱引きをすると、 全力を出す4人のほうが勝つことになります。 これは「社会的手抜きの実験」と呼ばれるものです。 ここで言えることは、 よく営業軍団がやるように「一丸となって事に当たろう」 というのは確かに勇ましいけれども、 実は手抜きを誘発しているということです。 私は営業系の研修をして営業部員の本音を聴いていますが、 ハチマキをして営業部長の前で盛り上がって 「出陣!」と言って威勢よく会社を出るけれど、 向かうのは客先でなくて大体、喫茶店なのです。 要は、同じ立場の仲間がいると責任が分散し、 自分がやらなくてもあいつがやるだろうと考えて、 手抜きを誘発することになるのです。 だから大事なのは、各自に責任を割り当てることです。 チームのメンバーにはそれぞれ個性があります。 アドラー心理学では、一人ひとりがユニークだと考えます。 ユニークというのは、「かけがえがない」「取り換え不能」ということです。 ところが、そのことに気づかない上司が多いのです。 気づいていれば、同じ軍団であっても 「君には主にこういうことをやってほしい」 「あなたにはこういうことを期待する」と、 それぞれに役割を与えることができるはずです。 それは人それぞれの違いを活かすということです。 |
2020.07.30 |
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