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大谷翔平、清宮幸太郎ら若手選手の育成に定評のある 日本ハムファイターズの栗山英樹監督。 (栗山) 僕が特別に何かをしたから彼(大谷翔平=ロサンゼルス・エンゼルス所属)が 育ったというわけではありません。 ただ、僕が意識したのは前例がどうだとか、 野球とはこういうものだとかいう先入観を いかに自分自身が払拭できるかということでした。 真白な感覚で大谷翔平という選手を見た時に、 投手としても打者としても絶対に世界に通用することは確かでした。 僕如きが自分の感覚で彼の可能性を閉ざすようなことがあってはいけない、 決められるのは野球の神様だけだと思ったものですから、 技術的なことはほとんど翔平に任せて、 僕と球団のゼネラルマネジャー(GM)は、 それを削いでしまうような要因を排除することに力を入れました。 翔平を見ていて僕らも勉強になったのは、 野球も結局は人間がやるものだということでした。 人間として駄目な部分は誰が見ても駄目なわけですし、 反対に欠点を改めて人間として成長していけば、 野球選手としても成長していく。その手本を示してくれたのが翔平だったんです。 翔平には「野球が上手くなりたい。そのためには何でもやります」 というはっきりしたスタンスがありましたから、 人間学の教えを含めて彼の成長のために我われはやれる限りのことをしました。 だからといって何かを無理強いしたことはありません。 うちのチームの特徴として、 必要以上に何かを教えたりすることはしないんですね。 普段は黙って練習や試合を見ていて、 何かを聞かれた時に「こういう方向がいいんじゃないか」と教える。 翔平をはじめ選手たちの成長を見ていると、 この指導の方向で間違ってはいなかったという感覚を抱きました。 だから、その分、僕たち指導者の勉強が欠かせないんです。 選手たちよりも十倍は勉強しないと彼らの成長に追いつかないし、 人間的に成長させてあげることができない。 指導者としての僕の課題は自分が人間として 大きくなることだと思っていますので、 だからこそ過去1000年、2000年の間、 様々な苦しみを味わいそれを乗り越えてきた 先人たちの教えにも積極的に学んでいるわけです。 |
2019/06/09 |
あらゆる分野で鋭い評論活動を展開された 知の巨人・渡部昇一先生。 その渡部先生がスイスの哲学者・ヒルティに 学んだという自分の心をコントロールし、 よりよき人生をつくっていく秘訣。 (渡部) ヒルティ(スイスの哲学者)がエピクテートスを訳しているんです。 エピクテートスは有名なストイックな哲学者です。 そのエピクテートスを訳したヒルティの前書きがいいんだ。 ヒルティというのは非常に熱心なキリスト教信者なんですが、 彼はその文章の中で、キリスト教の教えは非常に高い教えだから、 本当にわかるためにはある程度、人生の苦難をなめたりしなきゃならん。 だからこれからという若い人が 宗教的な悟りを開いちゃうのは考えもんだといっている。 本当の人生の困難に会ったときに、 昔、どこかでこんな教えを読んだことがあったというんで、 かえってね、宗教に感激する心がなくなることもある。 それで、むしろ、 青年には自分はエピクテートスのような生き方を教えたいといって、 わざわざ、訳しているわけです。 エピクテートスの哲学というのは、一種の“悟り”の哲学です。 どういうことかというと、自分の置かれた環境の中で、 自分の意志で自由にならない範囲をしっかりと見極めるということです。 自分の意志の範囲にあるかどうか。 そこにすべてが、かかっているということです。 ただ、それがはっきりとわからないとだめです。 はっきりわかると、自分の意志の範囲の中にあるものは、 自分が考えて最善の手を打つ。 打ちたくなければ打たなくてもいいが、 すべては自分の意志の範囲にないもの、これはあきらめる。 こういうものに対しては、絶対に心を動かさないということです。 外界のもの、地震とか天災とかは自分の意志の範囲にない。 友人や世の中の人が自分をどう思うかも、自分の自由にはならない。 こういう自由にならないものに、自由にならないといって、 腹を立て、心の平静を失うのは愚かだということです。 こういう物に対しては絶対に自分の心を騒がせない。 例えば、ぼくが30年前に上智大学を一流大学と思ってもらいたい、 やってることはいいんだからといったって 他の人は認めないものはどうしようもない。 これは意志の範囲にはないんです。 ところが、教えられていることはついていくのが 苦しいくらい高級なものをびしびしやっている。 すると、これを十分に消化するために毎朝、 5時に起きて朝めしまで2時間勉強することから始めようというのは、 それをやるかどうかはまったく、これは自分の意志の範囲です。 意志の範囲にあることはいいわけをしないで、自分でやる。 で、意志の範囲にないことは問題にもしない。心を動かさない。 まぁ、こういうのが、ヒルティから学んだことの一つでしょうね。 |
2019/06/07 |
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