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字幕離れ 字幕翻訳者の戸田奈津子さんか゛ いまとても憂慮されていることがあります。 若い人たちを中心に「字幕離れ」が進んでいることです。 そしてそれは、日本語の崩壊にも繋がっていると 戸田さんは指摘されています。 (戸田) 日本語力という話と少し関連することだけど、 ここ20年の間に若い人たちの間で「字幕離れ」が進んでいるんです。 つまり、吹き替え版を好む観客が増えてきている。 ある時、映画が字幕版と知った観客が 「普通の映画はやっていないんですか」 と尋ねたという話を聞いて驚きました。 その人にとっては吹き替え版が普通の映画なわけですね。 おそらく字が読めない若者が増えているからなのでしょうけど、 日本国としても実に憂うべきことでしょうし、 文化が死んでいくことを私もとても心配しています。 これも少し前の話ですが、 映画会社から「若い人は〝安堵〟という言葉が読めないから 〝安心〟に変えてほしい」と言われて、 強く反発したことがあります。 「安堵と安心はニュアンスが全く違う。 それがどうして分からないの」と。 このことが誰も気にならなくなっているというのは怖いですね。 安堵という日本語を含めて、毎日言葉が死んでいる。 もう、あちこちに死体がごろごろ。 (確かに日本語の崩壊は深刻ですね。) (戸田) 何を基準にしてそうなっているか私には分からないけど、 〝拉致〟を〝ら致〟と書いたって、それだけでは分かりません。 漢字なら見て意味が通じるんです。 私は絶対に〝ら致〟なんて書きたくないから、 必ず漢字で書いてルビ(読み仮名)を活用するようにしています。 そんな例はたくさんありますよ。 日本は世界でも珍しい字幕国なんです。 外国映画を字幕で観る習慣がなぜここまで日本で定着したのかと言えば、 一つには日本人の識字率が高かったこと。 もう一つは本物志向が強いことです。 ゲーリー・クーパーのようなステキな声は 生で聞きたいという映画ファンは多いはずです。 いわゆるヒーローものの声優さんが吹き替えをやったって、 あの味は出せませんよ。 でも、それすらいまの子には通用しない。 ないものねだりというか、 それが時代の流れなのでしょうけど、 字幕を取り巻く環境の変化は残念ではありますね。 |
2021.08.24 |
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