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      次代に輝く住まいを創る

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一語履歴WORD vol.528a

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一語履歴 vol.530
「信用」は使ってはならない
一語履歴 vol.529
「まずやる」 529a結末を与えていく基礎 529b恕す勇気を持つ
一語履歴 vol.528
一つのことに全身全霊を以て 528a己を捨て人のために生きようとする
一語履歴 vol.527
長所を伸ばし... 人生の道 527a歴史は人生の修羅場を 527b自分自身が
一語履歴 vol.526
幸せ発信地 526a絶対に成功しない条件 526b道を究めようとする人は
一語履歴 vol.525
他社の類似品は出さん 525a大きな試験にパスする 525b次はできる
一語履歴 vol.524
心のありようがいかに大きな人生の差異となるか
一語履歴 vol.523
自分の感情を音楽にぶつける 523a泥のついた千円札
一語履歴 vol.522
考えながら読まなければ 522a器以上の芸は 522b勝負の神様は細部に宿る
一語履歴 vol.521
修練と勇気、あとは 521a中くらい 521b過信せず驕らずに謙虚
己を捨て人のために生きようとする九歳の少年

神奈川県の県立高校教師(当時)中村正和さんは
2011年の東日本大震災後の夏休み、
陸前高田市などで瓦礫を拾うボランティア活動に参加。
その時の体験を授業の中で生徒たちと共有しようと考えられます。
授業をするに当たり中村さんは
震災にまつわる様々な情報を収集する中で、
あるUチューブの投稿に出合います。
それは被災したある9歳の男の子の実話でした。

私は、被災地で得た体験を、ぜひとも生徒たちと共有したいと考え、
震災にまつわる様々な情報を集めて授業を行いました。
その際「九歳の男の子」の話を知って、私は衝撃を受けたのです。
それは、ユーチューブで紹介されていた
ベトナムから日本へ帰化した警察官が語った話でした。

震災直後のある夜、
その警察官は食料を配る手伝いのために避難所へ向かいました。
そこにはようやく届けられた食料を受け取るために、
たくさんの被災者が列をつくっていました。

その最後尾に目をやると、九歳ほどの男の子が
厳寒の中をTシャツ・短パンという軽装で佇んでいます。
気になって声を掛けた警察官は、
その子が語り出した悲惨な体験に言葉を失いました。

地震の後、お父さんが小学校に車で迎えに来てくれた。
けれどもその時、大きな津波が来て、
お父さんを車ごと呑み込んでいくのを三階のベランダから見た。
海の近くの自宅にいた母親や弟妹もたぶん助からないと思う……。

その九歳の男の子は、不安を打ち消そうと涙を拭いながら、
悔しさと寒さに震えながら、必死に話してくれたのです。
不憫に思った警察官は、男の子に自分のコートを掛けてやり、
用意していた食料のパックを渡しました。
きっと喜んで食べてくれるだろうと思ったのです。

ところが、その男の子はどうしたか?
何と、彼はその食料パックを配給用の箱に置きに行ったのです。
そして、戻ってきた男の子は、警察官にポツリと言いました。
「僕よりお腹をすかせてる人がたくさんいるだろうから……」と。
何ということだ! 
警察官は、もう涙で少年を見ることができませんでした。
両親も弟妹も行方不明で、不安と悲しみに打ちひしがれ、
空腹と寒さの中で絶望している九歳の少年が、
それでもその困難に耐え、自分のことよりも他人を思いやることができる。

このような悲惨な境遇に置かれた幼い少年でも、
己を捨て、人のために生きようとする。日本人は何と偉大な民族なのだろう。
その話は警察官の口からベトナムに広まり、現地の新聞でも紹介されました。
新聞は「人情と強固な意志を象徴する男の子の話に、
我々ベトナム人は涙を流さずにはいられなかった」と綴り、
こう問い掛けています。
「我が国にはこんな子がいるだろうか」
この話を知ったベトナムの人々は、男の子と日本に称賛を惜しまず、
裕福とは言えない人々からも多くの義捐金が寄せられました。

この「九歳の男の子」の話を、私が授業で生徒たちに語り聞かせた時、
彼らは口々に「私も同じようにします」と答えてくれました。
生徒たちのその答えを聞いて、日本はまだ大丈夫だと、
国の行く末を憂う私の心に
希望の光が射したのを鮮明に覚えています。

2021.01.11

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