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中くらい 「痩蛙(やせがえる)まけるな一茶是(こ)れにあり」 「雀の子そこのけそこのけ御馬が通る」 お馴染みの小林一茶の俳句です。 文学博士の鈴木秀子さんが、 一茶の俳句の現代的な意味を 分かりやすい言葉で説き明かされています。 私たちは何事につけて完璧を求めがちです。 「100点でなくてはいけない、80点ではいけない」 というようなことをよく考えるわけですが、 それがマイナスに働くと 「もっとお金がないといけない」 「もっと有名にならなくてはいけない」 「もっと賢くないといけない」 と自分を追い詰め、 他人にもそれを要求してしまうことになりかねません。 そういう発想だけで生きていると、 健康で普通の生活が送れることだけでも十分に幸せである ということに気づかないまま人生が終わってしまいます。 目出度さもちう位也(ちゅうくらいなり)おらが春 「中くらい」であることが、どれだけありがたいことなのか。 一茶のこの句はそのことを伝えて、なお余りあります。 「もっともっと」と上にばかり目を向けるのではなく、 平凡な毎日、 何気ない目の前の一瞬一瞬の出来事に心を留めて、 そこにある小さな喜びを深く噛みしめ味わっていく。 これは気持ちさえあれば誰にでもすぐにできることです。 一茶もまた待ちに待った春がようやく来たという 当たり前のことに大きな喜びを感じているのです。 |
2020.12.12 |
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