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自分の感情を音楽にぶつける 2020年12月16に生誕250年を迎えた 楽聖・ベートーヴェン。その音楽はいまなお時代を超えて、 人々の心を打ち、人生を励ます偉大な力を持っています。 (平野) 1802年、31歳の時にベートーヴェンは 悪化した聴覚障害の苦悩に耐え切れず、 遂に命を絶とうとまで考えるほど追い込まれたようです。 ウィーン郊外のハイリゲンシュタットで弟たちに向けて遺書を書いているのです。 「自己の芸術的能力をすべて発揮するより前に死がくるとしたら、 それはあまりに早すぎる。 (略)だが、そんな場合でも私は幸せだろう。 なぜならそれが、私を果てることのない 苦しみの状態から解放してくれないはずはないからだ。 死よ、望むときにいつでも来るがよい、 私は勇敢にお前に立ち向かうだろう」 この手紙はベートーヴェンの死後に 引き出しの中から見つかったもので、 実際に弟たちが目にしたかどうかは定かではありません。 しかしよく読むと、これは遺書ではなく、 天から与えられた運命を受け入れ、 力強く生き抜こうという宣言であることが分かります。 自らしたためるうちに、不思議と力が湧いてきたのでしょう。 耳が聞こえないとしても、自分の中から メロディがなくなったわけではない。 音は心の中にある、そう確信を強めていったのです。 この生命的危機を乗り越えたベートーヴェンは 作曲家として一層情熱を滾らせ、 自分の感情を音楽にぶつけるようになりました。 悩み、苦しみ、喜び、祈りを五線紙に書き連ね、 次々に名作を生み出していったのです。 |
2020.12.18 |
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