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      次代に輝く住まいを創る

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一語履歴WORD vol.648a


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一語履歴 vol.641
自分で線を引ける
自分を変えない限り仕事を変えても一緒やで
               原田隆史(原田教育研究所社長)

奈良教育大学で中学の体育教師の免許を取得し、
初めに赴任したのは大阪市最大のマンモス校でした。

生徒1600名、教職員100名。
体育の教師だけでも僕を含めて8名もいる学校です。

当時は非常に荒れていて、生徒の服装は乱れ、
校内には煙草の吸い殻が落ちており、
僕も初日からえらい目に遭いました。

グラウンドから校舎に入ろうとした瞬間、
3階の窓から僕を目がけて椅子が落ちてきたのです。

間一髪で当たらずに済んだものの、
当たっていたら当然死んでいた。

そういう悪事を平気で働く生徒がいたのです。

授業以前に生徒たちの生活態度を
直さなければならない。

そう考え、登校時に校門に立ち服装チェックをし、
反抗的に向かってくる生徒に対しては
真正面から厳しく向き合い続けるうちに、
徐々に校風に変化を感じていきました。

ところが赴任3年目、25歳の時、
僕の教師人生を揺るがす大事件が起きました。

受け持っていた生徒が、
あろうことか両親によって殺されてしまったのです。

少年の家庭内暴力に思い悩んだ末に、
少年が寝ている間に両親が
殺めてしまったという悲劇……。

この衝撃的な事件はマスコミでも大きく報じられ、
「教師や学校は何をやっていたのだ」
と集中砲火を浴びました。

その結果、落ち着きを見せ始めていた学校が
再び地獄のようになりました。

生徒たちが学校のガラスを割る、
教室にペンキをぶちまける。

女性の先生が殴られる。

多くの先生がストレスで
学校に来られなくなりました。

そして遂に、僕も髪の毛が抜けてしまい、
三十八度の高熱が出てしまったのです。

フラフラになりながら自宅に戻り、
母に学校を休む旨を告げました。

母もこの惨状を知っていたため、
当然僕は優しい言葉を掛けてもらえると
期待していたわけです。

ところが母はなぜか、黒のマジックペンを
持ってくるではありませんか。

そして、そのマジックペンで塗り始めたのです、
僕の髪が抜けたその箇所を。

びっくりして言葉も出ませんでした。

恐る恐る顔を上げると
母は涙を流しながら言いました。


「あんたは教師を辞めようとしているやろ? 
 顔に書いてある。

 あんた、よう聞きや。
 辛いことがあったからといって
 仕事を変えたところで、
 新しいプラスの芽が出るのか?

 違うやろ。

 自分を変えなさい。

 自分を変えない限り、
 仕事を変えても一緒やで」

母の泣き顔を見たのは
後にも先にもこの時だけです。

普段はマザー・テレサのように
優しかった母の一喝で覚醒し、
一念発起して再び教師の仕事に
向き合うことができました。

やはり、困難に直面した時に
優しい言葉を掛けても人は育ちません。
厳しくも本気で向き合ってこそ
成長を遂げ本物になるのです。

この出来事が私の教師としての原点であり、
母は最大の教師です。

2022.03.18

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