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同じように演奏しないでくれ 国内外での演奏活動や後進の育成など、 日本を代表するヴァイオリニストとして 精力的な活動を続けている和波たかよしさん。 全盲に生まれながらも、 音楽の道を力強く切り開いてきた和波さんが語る精進の大切さとは。 (――4歳から70年以上、 ヴァイオリンの一道を歩んできた和波さんですが、 いまはどのようなことを心掛けて演奏していますか。) (和波) 僕は、毎年クリスマスの時期に バッハのコンサートを開催しているのですが、 例えば、昔に録音したバッハの演奏を聴いてみても 満足できないというか、いまの自分ならもっと違う演奏ができると、 いろいろな演奏のアイデアがいっぱい出てくるんですね。 それは演奏家の宿命であり、自分が生きている証しだとも言えます。 昔の演奏を「あれはよかった」と いつまでも喜んでいるようでは成長がありません。 その時、その時でまた別のアイデアを出したり、 研究し直してみることは面白いですし、 バッハのほうから「同じように演奏しないでくれ」と 言ってきているような気もするんですよ。 だから、いまは一回一回、 一期一会を楽しむという気持ちで演奏ができたらいいなと。 それに70歳を越えて技術的な衰えを感じるようにもなりましたから、 これが最後になってもいいという危機感、 悔いのない演奏をしようという思いでステージに立っています。 (――常に現状に満足せず、 一回一回の演奏に誠意を尽くしていく。 まさに音楽に向き合う和波さんの姿勢は、精進そのものですね。) (和波) 自分の人生を振り返ってみても、 やっぱり、一つのことを中途半端にせず、 一所懸命精進していけば、必ずその喜びは 自分に返ってくるというのが実感です。 毎年開催している八ヶ岳の講習会がきっかけで、 22年前に門下生になった女性がいるんですけど、 彼女は成長がすごくスローペースなんです。 でも大学を卒業して一般企業に勤めて、いまは3人の子供がいますが、 子育てをしながらヴァイオリンの練習をずっと続けている。 おそらく、ヴァイオリンに一所懸命になることで、 彼女は子育てのイライラなんかも少ないのだと思います。 これも一つの精進ですよ。 |
2019.11.04 |
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