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      次代に輝く住まいを創る

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一語履歴WORD vol.045a

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酔いは一瞬で覚めた    田中健一(東レインターナショナル元社長)

設立まもない東レインターナショナルの年商を6倍に拡大して
成長の軌道に乗せ、30年赤字続きで再建不可能といわれた
繊維商社の黒字化を1年で成し遂げた

私に目覚めるきっかけを与えてくださったのが、
二十代後半に仕えた十歳年上の課長であった。

しばしば酒にも付き合わされ、怪気炎を上げる彼の姿を
当時の私は側でうんざりしながら見ていた。

何か凄いお話をされていることは感じていたが、
それをキャッチできるだけの問題意識がなかったのである。

あの時のお話を少しでもメモしておけば、
いまどれほど役立っただろうかと悔やまれてならない。
それほど才気溢れる方だった。

ある日、その課長の自宅にお邪魔して飲んでいた時、
私は「いつ営業に出してくれるんですか」と
つい愚痴をこぼした。

すると彼は、ガラガラッと傍らの押し入れの戸を開き、
置かれていた木箱を開けて見せてくれた。
木箱の中にはびっしりとノートが詰め込まれており、
その数は恐らく百冊は下らなかったであろう。

「お前は俺がいつも大ボラ吹いていると思っているだろう。
 しかし俺の話はこういうものに裏付けられているんだ」

促されて開いてみると、まず課長自ら描いた
紡績機の設計図が目に飛び込んできた。

そればかりではない、
化学から経済まで、あらゆる分野についての
図や数字がびっしりと書き込まれており、
彼がこれまでどれほど勉強を重ねてきたかが
一目で分かった。
私は雷に打たれたようなショックを受けた。

課長は私におっしゃった。

「いいか、自分たちがつくったものが、
 どこへ売られて何に変わり、
 最終的にどういう形で消費されるのか。
 そこにそれぞれどんな問題があるのか、
 分からなければ商売はできない。
 文句を言う暇があったら勉強しろ」

酔いは一瞬で覚めた。
あの時目覚めたおかげで、私は他社との交渉の際、
例えば原料が足りないという話になった時など、
どのくらい原料があればどれだけ製品をつくれるか、
その場でサッと化学式を描いて計算することができる。

相手も本気になって考えてくれるから、
話が実質的に進むようになる。

二十代の終わりにニューヨーク勤務になった時も、
まだ一ドル=三百六十円で日本品が
コスト競争力があった上に、
私が商談で細かいことまで即答して
先方の必要性に具体的に対応できることが評価され、
面白いようにお客様が増えた。

日本の工場でアメリカ向けに生産される製品の
半分くらいを出していたほどで、
会社での評価云々よりも、
とにかく商売が面白くて、面白くて、一心不乱に働いた。
 
2013.06.18

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