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運命は性格の中にある 篠田桃紅(美術家) 戦中、戦後の混乱期を経て、水墨による独自のアートを確立。 世界的美術家としての地位を築きながらも、 伝統主義や世間の常識といった観念に挑み、 新境地を開拓し続けてきた100歳。 【記者:書には幼い頃から親しんでおられたそうですね】 えぇ。漢籍の素養があった父の勧めで、 五歳の時に習字を始めました。 でもおとなしく教わっていたのはうわべだけで、 本心はいつも自由に書きたかった。 例えば「川」という字は縦三本と決まっているけれど、 私は五本も十本も線を引きたくなる。 単に字の意味を伝えるためなら、 縦三本で事足りますが、それだけでは書にならない。 書く者の心が文字の形を借りて表れるのが書で、 その心の力が決められた文字の枠を出ようとするのでしょう。 それは私自身の性格というものですよ。 【記者:もともと決まり事に縛られない性分だったのですね】 こんなことを言うのも、女学校の高学年だった頃、 芥川龍之介の本を読んでいると、次の言葉が書いてあったからです。 「運命は性格の中にある」 その時に、私も、あぁそうだと感じ入りました。 人はよく、こういう運命だったから、 自分はこんな性格になったんだとか言うじゃない? でもあの方に言わせると、そうじゃないんですね。 例えば私の姉や兄は、同じ家の、同じ両親の元に生まれ、 同じように生活しているんですから、 言ってみれば同じような運命ですよね。 でも世間を見渡しても、お姉さんはとてもよく勉強ができるのに、 妹さんはできなかったりする例が随分ある。 だから生まれや育ちなんてものは実は大したことじゃなく、 個人個人の性格によって 運命がつくられていくものなのだと思います。 |
2013.06.03 |
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