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者に聞くな、物に聞け トヨタの技術者が繰り返してきた言葉 海稲良光(OJTソリューションズ専務) 日々の知恵と改善により、ものづくりの場を高めていくために、 トヨタで繰り返し言われている言葉があります。 ●「者に聞くな、物に聞け」 者とは人のことであり、物とは現場や 商品・製品のことです。 現場の作業者から聞いたことと、 実際に現場で起きていることが 食い違っていることがよくあります。 ですから、管理監督の立場にある人は、 部下からの情報に頼り切るのではなく、 実際に自分の目で現場を見て、 何が起きているかをつかまなければなりません。 ●「やってみせ、やらせてみて、フォローする」 「やらせてみて」までは実施していても、 その後の「フォローする」まで徹底している会社は ほとんどありません。 教えたことを本当に守り、 実践するまでフォローすることが重要なのですが、 実際には、「たぶんやっています」 というレベルにとどまっているケースが 多く見受けられます。 「教えたとおりにやっています」 と言い切れるところまで きっちりフォローしていかなければなりません。 ●「あなたは誰から給料をもらうの?」 現場では、目先の問題に振り回され、 事の本質を見失ってしまいがちです。 この質問に対して、上司の名や会社をあげるのではなく、 給料はお客様からいただいている、 ということを出発点にすることで、 品質やコストにも気を配ったお客様第一主義の ものづくりが実践できるのです。 訪問した会社の管理レベルは、 現場で作業をしている従業員さんに、 「この部品は次にどこへ行くのですか?」 と聞いてみればだいたい分かります。 「隣の箱に置くんだよ」という答えには、 「自分は誰から給料をもらっている」 という問題意識は見受けられません。 一人ひとりが、 「この部品はこういう工程をたどり、 最終的にこの製品になって お客様のもとへ届けられます」 と答えるところまで持っていくことができれば、 その会社の現場レベルは相当なものに なっているに違いありません。 ●「陸上のバトンリレーのようにやりなさい」 トヨタ流の仕事のやり方を、 私はこの言葉で表現しています。 陸上のリレー競技では、 前の走者から次の走者へとバトンを渡す バトンゾーンがあります。 そのゾーン内であればどこで渡してもいい。 バトンゾーンを有効に使うことで 前走者と次走者の引き継ぎが円滑になり、 全体のタイムを縮めることができます。 これは仕事も同様で、例えばベテランから 新人にバトンを渡す場合、 ベテランはバトンゾーンのギリギリのところまで 走って新人を助けてやればいい。 バトンゾーンがあることで、 自分の範囲を超えて仕事をしたり、 アクシデントが起きた時には 逆に助けてもらったりできます。 お互いに自分の領域を少し超えながら、 助け合ってリレーを走ることができるのです。 致知『1日1話、読めば心が熱くなる 365人の仕事の教科書』より |
2021.02.26 |
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