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何をやりたいか、やりたくないか 渋沢栄一の精神と生涯から学ぶべきものとは――。 〈渋澤〉 『論語と算盤』にある「大丈夫の試金石」です。 これは逆境に直面した時に どういう心構えでいるべきかという内容ですけど、 「自然的逆境」と「人為的逆境」を区別して 対応策を講じる必要があると書かれています。 台風や地震などの自然的逆境の場合には、 「足るを知る」「分を守る」ということで、 やるべきことはきちんとやって、 後のことは天命に任せましょうと。 一方、人間関係のもつれなどによる人為的逆境の場合にはどうすべきか。 「自分からこうしたい、ああしたいと奮励さえすれば、 大概はその意のごとくになるものである」 私はこれを「自分は何を成し遂げたいのかという ベクトルを常に立てておくことが大事だ」と解釈しています。 〈田口〉 なるほど。 〈渋澤〉 我われは逆境に直面するとほとんどの場合、 「何ができるか、できないか」という軸で考えていると思うんです。 だけど、ここで渋沢栄一が言っているのは 「何をやりたいか、やりたくないか」ですよね。 この二つの軸を掛け合わせてみると、 まず「できることでやりたいこと」というのはベストですし、 「できないことでやりたくないこと」っていうのは 捨ててしまってよいのかもしれません。 「できるのにやりたくないこと」、 これは例えば、仕事ができるのにやる気のない社員(笑)。 こういう人は改善しなきゃいけないんですけど、 多くの人が陥りがちで一番問題なのは、 「やりたいけどできないこと」です。 できない理由は時間がないから、お金がないから、 経験がないから、いろいろあると思います。 しかし、渋沢栄一はできないからといって そこで諦めてしまうのではなく、 常に未来志向を抱いて幸福なる運命を招くべきだと説いているんです。 |
2021.02.22 |
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