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ひとつの言葉 言葉は人を幸せにする一方、 時には死にも至らしめます。 三浦綾子さんのお話。 これは時折、講演で話すんですが、 「泥棒と悪口を言うのと、どちらが悪いか」。 私の教会の牧師は「悪口のほうが罪が深い」 と言われました。 大事にしていたものや高価なものを取られても、 生活を根底から覆されるような被害でない限り、 いつかは忘れます。 少しは傷つくかもしれませんが、 泥棒に入られたために自殺した話はあまり聞かない。 だけど、人に悪口を言われて死んだ人の話や 少年少女の話は時折、聴きます。 「うちのおばあさんたら、くいしんぼうで、 あんな年をしてても三杯も食べるのよ」 と陰で言った嫁の悪口に憤慨し、 その後一切、食べ物を拒否して死んだ、 という話があります。 それと精神薄弱児の三割は妊婦が三カ月以内に強烈なショックを受けた時に 生まれる確率が高いと聞いたことがありますが、 ある妻は小姑に夫の独身時代の素行を聞き、 さらに現在愛人のいることを知らされた。 それは幸せいっぱいの兄嫁への嫉妬から、 そういうことを言ったのです。 この小姑の話に、ちょうど妊娠したばかりの妻は大きなショックを受け、 生まれたのは精神薄弱児だったそうです。 恐ろしい話です。 私たちの何気なく言う悪口は人を死に追いやり、 生まれてくる子を精神薄弱児にする力がある。 泥棒のような単純な罪とは違うんです。 それなのに、私たちはいとも楽しげに人の悪口を言い、 また聞いています。 そしてああきょうは楽しかった、と帰っていく。 人の悪口が楽しい。 これが人間の性です。 もし自分が悪口を言われたら夜も眠れないくらい、 怒ったり、くやしがったり、泣いたりする。 自分の陰口をきいた人を憎み、 顔を合わせても口もきかなくなるのではないでしょうか。 |
2021.02.16 |
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