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      次代に輝く住まいを創る

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一語履歴WORD vol.493a

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仕事の流儀 500a人としての根を養う
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自分と一つに 499a感動する似顔絵 499bだから、あんたが一番可愛い
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一語履歴 vol.494
技は常に磨かなくては 494aくれない族 494bこういう時こそ大きな視点
一語履歴 vol.493
常に自分で「習って高める」 493a中庸の精神で表した「令和」
一語履歴 vol.492
旅人の話 492a自分の考えで工夫しながらやっていい 492b『君が代』
一語履歴 vol.491
経験値も大切ですが 491a上手は下手の手本、下手は上手の手本なり
中庸の精神で表した「令和」

「令和」の書に込めた思い 茂住菁邨(もずみ・せいそん=書家)

書いている最中の記憶はさほどありません。
昨年四月一日、新元号発表会見で菅義偉官房長官が掲げた
「令和」の二文字─あの日、自分の筆で揮毫した書が
一斉に注目を浴びたのを、
私は未だに他人事のように感じています。

昭和五十五年に大学を卒業して内閣府へ入職、
定員二名の辞令専門官となって今年で四十年。

幾度もの組閣改造に伴う膨大な官記辞令の発行をはじめ、
高橋尚子さんら国民栄誉賞受賞者の表彰状、
復興庁など新設官庁の看板等々、
指示に従い閣内の多岐にわたる文書を揮毫してきました。

こうした公務の傍らプロの書家としても
研鑽を積んできましたが、あの日の仕事を終えて感じるのは、
聞いた限り大半の方が「令和」という元号を
好意的に受け止めてくださったことへの安堵です。

入職当時の上司だった河東純一さんが後に
「平成」の元号を揮毫した方だったこともあり、
部下と共に準備はしていました。

私に依頼が来てからも新元号は当日まで知らされないため、
あらゆる場合を想定し、発表に適した半紙や墨を
念入りに検討しました。

とはいえ、これまで作成してきた文書は
総理から〇〇庁長官へ、など「誰から誰へ」という
対象者が明確なものがほとんどでした。

それがいざ国民全体に向けたものを書くとなると、
新元号がきちんと受け入れてもらえるか否かは
自分に懸かっている。
そういう重圧がやはりありました。

事実、発表の数日前に突然
「書けないかもしれない」という不安が込み上げました。

しかし、私がすべきは上の方の思いを汲み、
それをどなたが見てもよいと
感じていただけるような字で表現することです。

その思いの下、あの書は私個人の表現ではなく、
そこに込められていた思いを偏りのない心、
中庸の精神で表したつもりです。

当日、人目に触れないよう官邸に入った後、
係の方から「令和」と印字された紙を渡されました。

初めて知らされた元号を見た時、
パソコンやスマートフォンが普及した
現代に生きる国民が受け入れやすい、
活字に近い形で表すことを
期待されているのではないかと察したのでした。

ただ、会見をご覧になった方はお分かりかと思いますが、
実際は活字通りには書いていません。

私の使命は模写ではなく、
あくまで国民に受け入れられるよう
筆で書き改めることです。

上の方と会話はできないものの、
私が感じた思いをどう表すべきか、
その微妙な表現の仕方を擦り合わせる必要が
あると感じました。

私は即座に手元の紙に見本を書き、
係の方に手渡しました。

直後、その方を介し「お任せします」というお返事があり、
机に向かったのです。
2020.08.28

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