本文へスキップ

      次代に輝く住まいを創る

TEL. 0246-65-2311

〒979-0154 福島県いわき市沼部町鹿野43

一語履歴WORD vol.501

過去の一語履歴を見ることが出来ます。

一語履歴 HOME
⇦前 一語履歴 次⇨ 
一語履歴 vol.510
南アフリカの父 510a情熱を伝え相手の 510bいまの社会は「感動不足」
一語履歴 vol.509
二十一世紀のあるべき経営者の心得
一語履歴 vol.508
悲しみ、苦しみの... 508aあなたは歩き続ける 508bこれで条件は揃った
一語履歴 vol.507
ご苦労されることで 507a企業にとって安定志向 507b何としても自分との
一語履歴 vol.506
「回心」 506aお客様と社員の満足度が一緒じゃないと...
一語履歴 vol.505
「ありがとう運動」 505a最も尊きものは 505b心の成長は覚悟次第で
一語履歴 vol.504
何が人生の成否を分けるのか 504a見えなかったものが見えるようになる
一語履歴 vol.503
自分の意見として 503a心のコップが上向く 503b一つのことを黙々と
一語履歴 vol.502
掃除は子供たちを変え社会を変える 502a一歩一歩歩けば
一語履歴 vol.501
パイロットの卵たちを感激させた 501aトップが毎日、自分の思いを
パイロットの卵たちを感激させた稲盛さんの本気

JALは毎年多くのパイロット志望の社員を入社させていた。

しかし路線の大幅な縮小に伴って
パイロットの数も減らさざるを得なくなり、
パイロットの希望退職を募ると同時に、
パイロットを目指して入社した方々に対する訓練を中止し、
地上勤務についてもらうことになった。

そのためパイロット候補生たちは文句たらたらだった。

無理もない。
彼らは子供の頃からパイロットを目指して勉強を重ね、
難関の試験を突破してJALに入社したのである。

いよいよこれからパイロットとしての訓練が
始まると期待を胸に膨らませていたら、
訓練は中止、再開の見込みもないと言われ、
パイロットの業務とは直接関係のない仕事を
命じられたのである。

先輩はちゃんとパイロットになっているのに、
自分たちの代から止まってしまったというのだから
戸惑いも怒りもあっただろう。

彼らが文句ばかり言って困っているという報告が
現場から何度も上がってきており、
稲盛さんも「どういう対応をしているんだ」
と心配をしていた。

「どうしようもないので、
 とにかく我慢してほしいと話していますが、
 なかなか理解をしてくれないので困っています」

と幹部が言うと、

「幹部が逃げ回っていたら解決できるはずはない。
 一度みんなを集めてほしい。自分が直接話をする」

とおっしゃった。
そして簡単な立食のコンパをすることになった。

コンパに参加したパイロットの卵たちは
四、五十人もいたと思うが、
早速何人かが稲盛さんに近寄り、

「我々はパイロットを目指してJALに入社したのに、
 いつになったら訓練に入れるのですか。
 それも知らされないまま他の仕事をさせるというのは、
 おかしいのではないですか」

と訴え始めた。

すると稲盛さんは、

「馬鹿か、お前は。JALの経営状況が
 どうなっているかわかっているだろう。
 パイロット一人育てるためには
 多額のコストがかかるのだから、
 すぐに再開できるはずがない。

 お前のためにJALがあるのではないんだ。
 まずはJALの再建のために
 一緒に頑張ろうじゃないか。
 再建が順調に進めばパイロットの訓練は必ず再開する。
 それまでは今の職場で頑張ってほしい」と話した。

しかし、彼らも自分の人生を懸けているから
簡単には納得せず、激論が続いた。
こうして何人かのメンバーと厳しいやりとりが続いたが、
稲盛さんは一人ひとりと真摯に向き合い、
相手の話を丁寧に聞き、自分の思いを伝えた。

コンパの終わりの時間が近づくと、
稲盛さんは激論を繰り広げた相手のコップに
ビールを注いで回った。

そして

「まあまあ、そう怒るな。
 お前たちの言い分はよくわかっている。
 苦労をかけて申し訳ないな。
 でも会社の事情も理解してくれよ」

と、さっきまで真っ赤な顔で怒っていたのに
今度はニッコリと笑って、
「頑張れよ」と声をかけた。

相手は黙って頷いていた。

コンパが終わって、
私は稲盛さんと一緒に帰途についた。
そのときに稲盛さんはこう言った。

「本当に今日は久々に怒った。
 だが、みんな孫みたいなものだから
 厳しく言わないとしょうがないな」と。

確かにその時は凄い迫力だった。
しかし、そこには、本当の孫に対するような
深い愛情があったと思う。
彼らも稲盛さんの本気と愛情を感じたに違いない。

その後、運航本部長から
「ご迷惑をおかけし申し訳ありませんでした。
 しかし、コンパに参加したメンバーは
 本当に喜んでいました」と連絡があった。

「これまで経営トップは都合が悪いと
 担当役員に任せきりで逃げていた。
 でも、稲盛さんは直接出てきて意見を聞いてくれた。
 駄目なことは駄目とはっきり言ってくれた」

と感激しているというのである。

本音で話す、勇気をもって行動する、
困難から逃げず真っ正面から取り組む
といったことを稲盛さんは常々口にしているが、
それを自ら体現された。

また、そこには愛情もあった。

その姿を見てパイロットの卵たちも
頑張ろうと思ってくれたである。
結局、JALの再建は順調に進み、
訓練は再開することができた。

稲盛さんは彼らとの約束をきっちり守ったのである。

2020.10.04

バナースペース

櫛田建設株式会社

〒979-0154
福島県いわき市沼部町鹿野43
Mail infous@kushida-web.com
TEL 0246-65-2311
FAX 0246-65-2313
定休日:土曜日・日曜日