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松下幸之助流の人材育成法 (叱り上手) 加護野忠男(神戸大学名誉教授) 「凡事(ぼんじ)徹底」は 整理・整頓・清潔・清掃・躾(しつけ)の「5S」に始まり、 道を歩く時はポケットに手を入れない、 靴を脱いだら真っ直ぐ揃えるといった、 日頃の身の回りのことをきちんと行う 習慣を身につけさせることで、 人を育てていくという考え方です。 また、この習慣づけは、 経営を成り立たせる上で何よりも大切な精神、 正直さ、真面目さ、愚直さといった精神を 涵養することにも繋がってきます。 そして、もう一つの教育方針が「覿面(てきめん)注意」です。 これは凡事ができていない人に、 すぐその場で厳しく注意をする、叱る。 実際、幸之助さんはかなり厳しく人を叱っていました。 幸之助さんは特に優秀な人には 大きなことではなく小さなことで叱ったといいます。 幸之助さん自身、 「小事にとらわれて大事を忘れてはならないが、 小さな失敗は厳しく 叱り大きな失敗に対してはむしろこれを 発展の糧として研究していくということも、 一面では必要ではないかと思う」 という言葉を残しておられますが、 これは「小事は大事」という考えに基づいています。 幸之助さんが小さなことを叱った理由は 2つあると思います。 1つは合理的な判断への戒めです。 よい大学を出た頭のよい人というのは 合理的に物事を考えがちですが、 得てして本筋だけ外さなければよいと、 小さなことを無視してしまいがちです。 幸之助さんは、小事が積もり積もることによって 組織は弱体化していくことに気づいておられたのでしょう。 第2には、小さなことを軽視するような状態は、 おそらく組織が緩んでいることの示 す一種のアーリーウォーニング(早期警戒)ではないか、 ということです。 初めから大きな不正をするような人はあまりいません。 小さな不正から始まって、次第にそれが エスカレートして大きくなっていくのが現実の姿です。 また、面前で叱ることには、 叱られた人以外の社員にも、「それは悪いことなのだ」と、 その職場の価値観を知らせるといった コミュニケーション効果もあります。 ただ、厳しく叱るだけでは 相手の意欲を挫いてしまう危険性があります。 その点も幸之助さんは心得ていました。 幸之助さんは電話魔だったといわれていますが、 叱った後には必ず本人に、 「元気にしとるか」「機嫌よう、働いているか」 と電話を掛けた。 ここに幸之助さんが叱って人を育てる、 〝叱り上手〟といわれる所以があります。 |
2024.11.06 |
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