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      次代に輝く住まいを創る

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一語履歴WORD vol.479

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利益なくして安全なし
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幸福に生きるためには大事なこと 472a人間学なき者に指導者の資格なし
一語履歴 vol.471
日本人の美徳 471a続けていくこと... 471b独創力を発揮する三条件
利益なくして安全なし

2010年、戦後最大の負債額を抱えて経営破綻した日本航空(JAL)。
誰もが不可能と断じたその再建を見事成し遂げたのが稲盛和夫さんです。

「新・経営の神様」の呼び声高い稲盛和夫さん。
京セラやKDDIを創業し、それぞれ1・5兆円、4・9兆円を超える大企業に育て上げ、
倒産したJALの会長に就任するや、僅か2年8か月で再上場へ導いたことで知られています。

2010年にJALが倒産した時、稲盛さんは政府から
会社更生法に基づく会社再建のために会長を引き受けてほしいと頼まれました。
日本を代表する経営者とはいえ、航空業界のことは全くの素人であり、
最初は固辞していたといいます。
実際、多くの人から「あんな巨大な組織の立て直しは絶対に無理だ」
「晩節を汚すことになる」と言われていました。

しかし、倒産したJALを救うことには、3つの大義があると思い至ります。

1つは、残された3万2千人の従業員の雇用を守れる。
2つ目は、日本経済全体への悪影響を食い止めることができる。
そして3つ目は、ANAとの正しい競争環境を維持して、国民の利便性を図る。

世のため人のために尽くすことが人間として大切だという信念から、
勝算があるわけではないけれども、必死に頑張ってみよう。
そう思い、火中の栗を拾ったのです。

その時、稲盛さんは京セラから2人の幹部社員だけを連れて、再建に乗り出しました。
その1人が稲盛さんの秘書を長年務め、
取締役執行役員常務として稲盛さんから絶大な信頼を寄せられていた大田嘉仁さんです。

大田さんは倒産当時のJALの状況をこう振り返っています。

「どの部署の人も言い訳しかしないんです。
自分は一所懸命やってきたし、悪くないと。
そしてあからさまに他の部署を批判するのが当時のJALという会社の特徴でしたね。

さらに問題だったのは、利益を追求し過ぎると
ろくなことがないという考えが支配していたことです。
航空業界は特殊なところで、利益を追求し過ぎると安全面にしわ寄せがくるし、
組合員は賃上げを要求してくるし、国は運賃を下げろと言ってくる。
だから、利益というのは出せばいいというものではないんだと」

この発言に対し、JALの生え抜き社員として、倒産当時は整備本部長を担い、
後に稲盛さんのもとで、副社長に抜擢された佐藤信博さんはこう述べています。

「恥ずかしい話ですが、当時のJALではそれが正論だったんです。
私が稲盛さんの言葉で最初に印象に残ったのが

『利益なくして安全なし』

という言葉でした。それまでは、飛行の安全を維持するためには、
とにかくいい部品を使って、いい整備作業をやって、
品質を高めていかなければということで、
いまにしてみれば湯水のようにお金を注ぎ込んでいました。

利益のことは他の誰かがやってくれているはずだという考え方だったんです」
そのような状態からいかにしてJALは再建を果たしたのでしょうか。

稲盛さんが「JALを社員の意識の高さにおいて世界一にする」と述べたように、
社員の意識を変えることが改革の第一歩でした。

かつてのJALは役所と同じだったといいます。
東大をはじめ優秀な一流大学を出た幹部10名くらいで構成される
企画部というところがあり、そこがすべての経営方針を決めて、
あらゆる指示が出されていく。
そのメンバーは現場経験のない人間ばかりだったため、
稲盛さんは企画部を廃止して、現場で働いたことのある人たちを幹部に引き上げました。

また、JALは倒産後も便の運航を止めることなく更生に入ったので、
倒産したことを実感できない、あるいは潰れても誰かが何とかしてくれる
という意識の従業員が多かったといいます。

そういう中で、稲盛さんは「皆さんが目覚めて立ち上がり、
自分たちで会社を立て直そうとしなければ誰もできませんよ」と、
再建の主役は社員であるという当事者意識を植えつけていきました。

そんな中、再建の原点になったのが「リーダー教育」と呼ばれる勉強会です。
これは役員や部長クラス、あるいはノンキャリアでも将来性のある若い人など、
選抜された52名を対象に、ほぼ毎日、1回1時間、
稲盛さんが講義し、懇親会を行うというもの。

この勉強会で稲盛さんが語り掛けたこととは何か。
元副社長の佐藤さんが特にインパクトを受けたのは、「利他の心」の話だったといいます。

「利他という言葉はそれまで聞いたこともなかったんですが、
『君は誰のために仕事をしているんだ?』と問い掛けられた時には、
それまでいかに自分勝手な仕事をしていたかを思い知らされました。
やはり社員のため、お客様のため、それから多大なご迷惑をおかけしている銀行の皆さん、
株主の皆さんのためにも、心を入れ替えて再建に邁進しなければと、
それまでにも増して強く思うようになりました」

一方、JAL社員の意識改革を担当した元専務の大田さんは、
改革に当たってあることを心掛けていたと述懐します。

「常に意識していたのは、幹部の皆さんの人物を見極めることでした。
リーダー教育を始める時に稲盛さんから
『参加者の人物をよく見ておいてくれ』と言われていました。
『どのような人にJALの将来を託すべきか、君の評価基準はなんだ?』とも聞かれました」
その問いに、大田さんは次のように答えました。

「『JALのことを一番愛していて、真面目で一所懸命で明るい人です』と答えたら
『それでいい』と。佐藤さんなんかまさにその基準どおりの人なんですよ」
さらにこう続けます。

「言い訳から入るような人は絶対ダメでした。
会社を本当によくしようと思ったら、そういうことを吐いてもしょうがないんだと。
稲盛さんはそういうことを積み重ねながら、半年のうちに
幹部の皆さんの意識をガラッと変えてしまいました。
幹部一人ひとりの経営者意識が高まったことが、JAL再建の一番の成功の要因でしょうね」

会社をはじめ、あらゆる組織の盛衰は
そこに所属する一人ひとりの人間がどういう意識で過ごしているか、
その集積によって決まるものです。
2020.06.22

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