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仏教の世界ばかりにいては分からなかった 仏教を分かりやすく説くことで定評がある 愛知専門尼僧堂堂頭の青山俊董(しゅんどう)さん。 15歳で出家した青山さんですが、 学生時代は仏教界の古い体質に反発して 文学に進もうとした時期もあったそうです。 時を経て、青山さんは同じ尼僧である瀬戸内寂聴さんと ある女性雑誌で対談した折、 そのことについて言及されました。 (青山) 反発心もあって大学院は仏教ではなく文学を選びました。 大学院の雰囲気は非常によかったのですが、 しばらくしたら「しまった。間違っていた」と思いました。 いまの仏教界はどうあれ、お釈迦様の教えに変わりはないのだから、 お釈迦様の教えを真っ直ぐに見つめて生きていけばいいんだと。 それで再び仏教学に戻りましたけど、 そんなこんなで大学には10年以上お世話になったというわけです。 その頃、私には真に自分が納得するまで 尼僧堂には帰れないという思いもありましたね。 ある時、1人息子を亡くされたお母さんが私にしがみついて 「息子はどこへ行ったのでしょう」と聞かれて、 返事ができなかったんです。 「これで返事ができんようでは坊さんじゃない」と。 少し話は逸れますが、 ある女性雑誌で瀬戸内寂聴さんと対談させていただいた時、 いまのこの話をしたんです。 「大学院は文学に進んで、間違っていたと気づいた」と言った途端に 瀬戸内さんが「なぜ間違っていましたか」とお尋ねになる。 ちょうど私と反対に文学の世界から仏教に入られた頃ですわな。 私は「いや、文学は遊びです。救いは仏教にしかありません」と 自信を持って、そう申し上げました。 瀬戸内さんは「うん」と深く頷かれましたけど、 道を逸れて外に出たからこそ 私は自信を持ってそのことが言えた、 仏教の世界ばかりにいては分からなかったと思いますね。 |
2021.05.11 |
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